テンニースの「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」の違い

    フェルディナント・テンニースとは

    ドイツの社会学者(1855-1936)。彼は、A.ショーペンハウアーやF.W.ニーチェの「生の哲学」に影響を受け、人間の意志の形式が社会や社会関係のあり方を決定すると考えた。

    本質意志とは

    (定義)「欲求や習慣などに関連した自然発生的な意志」 この本質意志は前近代的な「ゲマインシャフト(共同体)」を生み出す。

    選択意志とは

    (定義)「打算的で合理的な選択に関連し人為的に生成された意志」 この選択意志は近代的な「ゲゼルシャフト(利益社会)」を生み出す。

    ゲマインシャフトとは

    (定義)「人間の本来備わる本質意志によって結合する有機的な共同社会

    どういう意味なのか?

    (具体的な理解)有機的な共同社会とは、愛着や信頼などにより親密な人間関係が維持されている状態と考えることができる。利益があるかないかで人間関係を維持するのでなく、愛着や信頼によって維持するのである。具体的には感情や気分を共有する家族や民族、習慣や伝統を共有する村落や地方共同体、両親や信仰を共有する中世都市や協会をテンニースは挙げている。

    1. 家族や民族>血のゲマインシャフト
    2. 村落や共同体>場所のゲマインシャフト
    3. 中世都市や協会>精神のゲマインシャフト

    ゲゼルシャフトとは

    (定義)「人間がある目的達成のため作為的に形成した機械的な結合

    どういう意味なのか?

     ある目的とはたとえば「利益追求」とも考えることができる。お金を儲けるという目的、あるいは自分が心地よくなるという目的ともいえる。そうした目的のために故意に、あるいは不自然に、人為的、機械的に作るような結合をゲゼルシャフトという。具体的に現在できている機械的な結合としては、大都市や国民国家などが代表として挙げられる。 (具体的な理解)たとえば隣人の顔を知っていても、挨拶しかしないというようなことはある。私も実際に隣人と物々交換をしたり、会話をしたりすることはほとんどない、たいてい挨拶だけである。このような地域への関わりを失った社会を「ゲゼルシャフト」という。

    参考・引用文献

    ・「本当にわかる社会学」現代位相研究所(実業出版社)

    ・「クロニクル社会学」那須壽(有斐閣アルマ)

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    蒼村蒼村

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