アポフェニアとはなにか
定義
無意味なノイズや偶然の存在を信じてしまうこと
具体例
偶然の中には、あまりにできすぎていて意味があるとしか思えないことがある。たとえば、時計が12時12分をさしていたのを目にしたとする。そして次に目にした時には13時13分だった場合、人間はそうした偶然に意味を感じてしまう。大事な人が亡くなった次の日に、ドアが風で開いただけで、故人が何かを伝えてに来たのではないか、と思ってしまう。アポフェニアとはそうした偶然を信じることなのだ。
wikiのアポフェニアに関する定義は以下のとおりである。
、無作為あるいは無意味な情報の中から、規則性や関連性を見出す知覚作用のこと(wiki)
テキサスの名射手の誤謬とは
アポフェニアと関連する言葉として、「テキサスの名射手の誤謬」という言葉があります。アポフェニアというカテゴリーの中に、テキサスの名射手の誤謬というものがあるといったほうがいいですね。
定義
でたらめに起こる事象の周囲に丸を描いて、本当は意味の存在しないところに意味を見出すこと
どういうことか
この言葉は納屋をめがけて銃を撃つカウボーイの話からきている。納屋に何発も銃を撃ち続けていると、納屋の壁は穴だらけになる。まばらな箇所もあれば、収集して穴が空いている場所もある。そこで、弾痕の集まっているところに的を描いてみる。そうすると、カウボーイは名射手のように見えてしまう。ランダムな偶然の結果に人工の秩序を作り出したことになる。
人間はみな、テキサスの名射手だといえる。人間の脳はこれと同じことをやっているのである。たまたま偶然が重なった部分に集中してしまう。カジノで連勝したとき、竜巻が教会を避けて通ったとき、神が味方してると感じてしまう。玄関を出てすぐに石に躓いただけで、今日はなにか悪いことが起こるという意味を感じてしまう。テレビ番組は何時間、あるいは何十時間も撮られているが、実際に我々が視聴するのは数時間にまとめられたものである。無意味なものや偶然に的を描いて、面白い部分を抜き出し、て他は捨てて首尾一貫した物語を作るのだ。街頭調査などというが、いろいろな人に調査したのにもかかわらず、頭が悪そうな人、あるいはある政党に批判的な人だけを抜き出して放映することもある。
科学者でさえ、ときにはテキサスの名射手になる。テキサスの名射手にならないために、仮説を立てたらその仮説を否定するための研究を始めるのである。疾病対策センターによれば、八歳の児童の自閉症患者の数は、2002年から2006年の間に57%増加しているらしい。また、70人に1人がなんらかの自閉性障害と診断されている。人々は自閉性障害の原因を探した。そして最初の”的”は予防接種だった。予防接種がはじまったころから自閉性障害が増加したからである。そしていったん的が描かれると、それ以外の点には目が向かなくなるのである。何百万ドルも使って予防接種と自閉性障害の関連を調査したが、結局関連はなかったそうだ。
人間は、無秩序のなかに秩序を見出したい生き物である。偶然の事象が重なりあう「集まり」に人間は惹かれる。集まりを探す癖を、人間は進化とともに身につけてきたのである。本当に意味があることはないんじゃないか、すべてが偶然じゃないか。そう思うことがある。無意味さに人間は耐えられない。つねに意味を探し、創る。創造も、無秩序のなかに秩序を見出す行為だと私は考える。無秩序のなかに的を作り、秩序があるように見せる。人々はそれを秩序だと思うようになる。どのような的が正しいのかと考えだしたらそれは立派な哲学ではないだろうか。
パレイドリアとは
定義
雲とか木の枝の作る形が人や人の顔に見えるという現象
アポフェニアの一種。
アポフェニアと大数の法則
大数の法則とは
定義
たくさんのサンプルを集めれば、そこには多くの偶然が見られるという法則。
人間はこの地球に70億人いるのだから、偶然はどれだけ起こってもおかしくない。偶然を運命などの意味として捉えてしまうことがアポフェニアである。確率で考えれば、人間はたくさんの奇跡を経験している。誰かと出会う確率、何かを読む確率、生まれた確率、取り出せばきりがない。しかし人間はどれかひとつに的を作り、そこだけを取り出して運命だとか、意味があると考えてしまう。
1ヶ月の1回は起こるというリトルウッドの法則という考え方もある。人間は平均して一日に8時間ほど外界に注意をはらう。そして平均して1秒に1度なんらかの事象を経験するという。35日で100万の事象を経験することになり、あることが100万にひとつの確率で起こるとすれば、大体一ヶ月に一度は起こるというわけだ。
人間は無秩序の中に秩序を見出すだけではなく、運命をも見出す生き物である。人間は見たいのものを見て、見たくないものは無視するのだ。
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