ニューカムのパラドックスとはなにか?

ニューカムのパラドックスとは

「ニューカムのパラドックス」は1960年代後半に量子力学者のウィリアム・ニューカム(1927-1999)という人が考案したものです。パラドクスとは一般に「矛盾」を意味します。

ちなみに大澤真幸によればニューカムという人は哲学者であるロバート・ノージックの仮名であるという説があるそうです。

動画

動画を作成してみましたのでぜひ見てください。このサイトで最初に作った動画です。登録していただけるとモチベがものすごく上がります。

概要

選択肢1と選択肢2があるとします。利益を最大にするという条件で、行為者がどちらかを選択するとします。

期待効用を考えれば選択肢1が利益を最大にする選択で、支配戦略を考えれば選択肢2が利益を最大にする選択だとします。最強の盾と最強の矛が同時に存在することを矛盾といいますが、選択肢1が最強だという理論と、選択肢2が最強だという理論が同時に存在してしまっている状況があります。そのような状況をニューカムのパラドックスといいます。

あるいは、選択肢1が実は非合理的な選択で、選択肢2のほうが合理的な選択なはずなのに、選択肢1のほうが多く選択されてしまっているようなことをニューカムのパラドックスというかもしれません。

具体的な例はこれから話す透明な箱と不透明な箱の例で考えます。正直頭が痛くなる話です。

透明な箱と不透明な箱

ニューカムのパラドックス

ニューカムのパラドックス

いま目の前に2つの箱があります。透明な箱Aには1000万円が入っていて、不透明な箱Bには0円または10億円が入っています。

透明な箱A1000万円
不透明な箱B0円または10億円

私達(行為者)には今2つの選択肢が与えられています。

選択肢1:不透明な箱Bをとる
選択肢2:透明な箱Aと不透明な箱Bをとる

さらにニューカムは「予見者」という概念を導入します。

予見者とは

不透明な箱に何を入れるか決める権限をもっているのが予見者です。予見者は予想によって何を入れるか決めます。

行為者が選択肢1を選ぶと予想不透明な箱Bには10億円いれておく
行為者が選択肢2を選ぶと予想不透明な箱Bにはなにもいれない

 

英語版WIKIでは英語で「predictor」とあります。日本語では予言者、予知者、予測者などと約されるようです。大澤真幸さんは「予見者」と表記しているので、今回はそれに従います。

予見者の予想はどのくらい信用できるのか?

There is a reliable predictor, another player, and two boxes designated A and B. The player is given a choice between taking only box B, or taking both boxes A and B. The player knows the following:[4]

  • Box A is clear, and always contains a visible $1,000.
  • Box B is opaque, and its content has already been set by the predictor:
    • If the predictor has predicted the player will take both boxes A and B, then box B contains nothing.
    • If the predictor has predicted that the player will take only box B, then box B contains $1,000,000.

The player does not know what the predictor predicted or what box B contains while making the choice.

出典

ただの予見者ではなく、「信頼できる予見者(reliable predictor)」です。正直訳がよくわかりません。絶対当たる予見者というわけではないんでしょうね。信頼できる占い師といわれて、絶対占いが当たると思うでしょうか。今回は”信頼できる予見者”としておきます。大澤真幸の本の場合は、ただの予見者でした。

英語の他のサイトを見ても、「The prediction is reliable(出典)」とあります。別のサイトでは「You’ve observed that, in the past, the Predictor is right every time.(出典)」とありました。「One wonders, when thinking about the problem, how the Predictor can be so good at telling what people will do.(出典)」とこのサイトにはあり、たしかに疑問に思いますよね。予見者はどのくらいの精度で予言できるのか?と。100%なのか、50%なのか、わからないのです。「in the past, the Predictor is right every time」とあるように、過去に毎回予言を的中させていたとしても、今回当たる保証はないわけです。どれくらいの確率かがわかららない状況で、ただ曖昧に”reliable”、信頼できるとあります。

But here’s the thing. The test was set by a Super-Intelligent Being, who has already made a prediction about what you will do. If Her prediction was that you would take both boxes, She left B empty. If Her prediction was that you would take B only, She put a ₤1 million cheque in it.

出典

ちなみにこのサイトでは”super-intelligent-being”とありました。訳は超知能的存在でしょうか。大澤真幸さんの「考えること(河出文庫)」という本では予見者と訳されています。予見(よけん)とは一般的に「まだ起こらないうちに、先を見通して知ること」です。未来を過去の時点で知ることですよね。英語ではforesightといいます。予測者ではなく、予見者なのです。

超心理学の用語。現在もっている知識をもとにした推論では予測不可能と思われる未来のできごとをあらかじめ知ること。ESP(超感覚的知覚)を構成する一要素である。古来、多くの予言の事例が伝えられ、予知の技術として各種の占いが行われ、また日常生活のなかで偶発的に予知的体験をもったという報告も多い。

出典

どちらかというと「予知」に近い気もします。予見者=超知能的存在と言い換えてもいいかもしれません。重要なのは予見者の予知がほんとうに当たるかどうかを行為者が信じるかどうかです。超知能的存在が予想しますといわれたら、その予想は当たるかもしれない、しかし当たらないかもしれない。あなたはどのように考えるでしょうか。また、自分の選択が、その予想に影響を与えると考えるでしょうか。

行為者(箱を選ぶ人)に伝えられる情報

透明な箱Aには1000万円が入っていて、不透明な箱Bには0円または10億円とう情報の他に、行為者には「予見者が選択肢1を予想したときにのみ、不透明な箱Bには10億円が入っている」ということが伝えられます。またその予見者はreliable(信頼できる)という情報も伝えられるそうです。大澤真幸さんの例にはこのreliableは入っていませんでした。

行為者にとって合理的な選択とは?:ゲーム理論(支配戦略)

経済学者ならゲーム理論的な考えをとり、選択肢2を選ぶほうが合理的だと考えるそうです。つまり、「透明な箱と不透明な箱Bをとる」ということです。

ゲーム理論とは「複数の主体が相互依存関係のもとで,いかなる行動をとるべきかを考察する理論」です。

「囚人のジレンマ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。2人の共同で犯罪を行った囚人が司法取引をもちかけられる話です。囚人Aと囚人Bは別々の部屋で司法取引をもちかけられ、お互いの情報を知ることができません。AとBが両方罪を黙秘すれば、お互いに2年の懲役を受けます。お互い罪を自白すると、お互いに5年の懲役を受けます。Aだけが黙秘、Bだけが自白という形になるとAが0年、Bが10年の懲役を受けます。Bだけが黙秘、Aだけが自白という形になると、Aが10年、Bが0年の懲役を受けます。

 囚人B黙秘囚人B自白
囚人A黙秘(2年、2年)(10年、0年)
囚人A自白(0年、10年)(5年、5年)

図にするとこうなります。さて囚人はどのような選択するでしょうかという話です。囚人Aや囚人Bの、”個人”の利益を最大にする選択はどれかという話です。

相手が黙秘を選んだと仮定して、自分が黙秘した懲役2年、自分が自白したら0年なので自白を選びます。

相手が自白を選んだと仮定して、自分が黙秘したら10年、自分が自白したら5年なので自白しを選びます。

相手の行動に関わらず、自分が最も得をしようとしたら自白を選ぶのです。

もし自分が黙秘していた場合、懲役2年(相手も黙秘)か懲役10年(相手が自白)です。もし自分が自白した場合、懲役0年か5年です。選択肢1「2か10」、選択肢2「0か5」というわけです。囚人が自分の利益を合理的に追求しようとしたら、自白が最適な戦略(支配戦略)となります。しかし各個人が合理的な戦略をとった結果、全体としては望ましい結果にならないので囚人のジレンマというのです。たしかに全体として望ましい結果(パレート最適)は両方黙秘の(2,2)で合計4年ですよね。しかし合理的な戦略をとった結果、(5,5)の合計10年になってしまうからジレンマというわけです。

「透明な箱と不透明な箱Bをとる」選択が合理的な戦略の理由

透明な箱A1000万円
不透明な箱B0円または10億円
選択肢1:不透明な箱Bをとる
選択肢2:透明な箱と不透明な箱Bをとる

話は戻りますが、なぜ透明な箱Bを選ぶことが合理的な選択なのか?いいかえれば囚人のジレンマでいうところの支配戦略なんでしょうか。

(1)予見者の予想が、「行為者は選択肢1を選ぶ」だった場合

予見者は不透明な箱に10億円を入れています。

(1-a)行為者が選択肢1を選んだケース:不透明な箱Bを手に入れる。10億円を行為者は手にする。予見者の予想通りである

(2-a)行為者が選択肢2を選んだケース:透明な箱と不透明な箱を手に入れる。1000万円と10億円が入っている箱を手にする。予見者の予想は外れている

(2)予見者の予想が、「行為者は選択肢2を選ぶ」だった場合

(2-a)行為者が選択肢1を選んだケース:不透明な箱を手に入れる。行為者は1円も手に入らない。予見者の予想通りである

(2-b)行為者が選択肢2を選んだケース:透明な箱と不透明な箱を手に入れる。行為者は1000万円を手にする。予見者の予想は外れている

 予見者は選択肢1を選ぶと予想予見者は選択肢2を選ぶと予想
行為者が選択肢1を選ぶ10億円手にする0円
行為者が選択肢2を選ぶ10億1000万円手にする1000万円手にする

「10億円か0円」か「10億1000万円か1000万円」どちらを選びますか?ということです。確かに合理的な戦略をとれば、「10億1000万円か1000万円」、つまり選択肢2である「透明な箱と不透明な箱両方を取る」という選択が合理的な戦略です。ちなみに予見者がいない場合も、選択2が合理的な戦略であり、支配戦略です。

選択肢2が合理的な選択なはずなのに、選択肢1を選んでしまうことがパラドックス

パラドックス(paradox):、正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉である。逆説、背理、逆理とも言われる

有名なパラドックスとして、「全能の逆説」という話があります。「全能者は自分が持ち上げることができないほど重い石を作る事ができるか?」という話です。もし全能者が重い石を作ることができたとすれば、全能者はできないことがあることになります。もし重い石を作ることができなければ、全能者はできないことがあることになります。できないことがあるということは、全能者=すべてのことができるものではなくなります。頭が混乱してきました。こういうものを「神の論理的自己矛盾」というらしいです。全能の神がいるというのは正しそうな前提に思えますが、矛盾する結果が生じる、つまり受け入れがたい結論が得られてしまうのでパラドックスなんですね。

  • I choose box B: 53.5 per cent
  • I choose both boxes: 46.5 per cent

This is very close – an almost Brexit-like split down the middle of the voting public. And like Brexit, some families were deeply divided. Mine was anyway: I chose box B, while my wife chose both boxes. Arguing about it just entrenched our positions.

In the only other mass survey on Newcomb’s Problem, the results were similar: 55 per cent chose box B, and 45 per cent both boxes.

出典

ニューカムによる実験では選択肢1を選んだ人が55%、選択肢2を選んだ人が45%だったそうです。

出典元によるガーディアン紙が取った31854人を対象にしたアンケートでは選択肢1を選んだ人が53.5%で、選択肢2を選んだ人が46.5%だったそうです。同じような数字が出ていますよね。

どちらも選択肢1、つまり不透明な箱Bだけを選んでいるのです。個人の利益を最大にする合理的な戦略をとれば透明な箱Aと不透明な箱Bの両方を選ぶはずなのに、そのような結果になっていないのです。

支配戦略(合理的な戦略)である選択肢2ではなく、選択肢1を選んでしまうことがパラドックスだということです。

妥当に見える推論とは、「行為者は支配戦略をとるだろう」ということであり、「受け入れがたい結論」とは「行為者が支配戦略をとっていない」ということです。最も合理的な戦略を取るだろうと予想したのに、合理的な戦略をとっていないのです。

ニューカムのパラドクスのポイントは、予見者がいない場合には選択肢2を選ぶ人のほうが多いということです。予見者がいる場合に限って、選択肢1を選ぶ人が多くなってしまうのです。

 

逆因果律とは

逆因果律(ぎゃくいんがりつ,Retrocausality):未来の事象が過去の事象に影響を及ぼすという因果関係の概念である。つまり通常の因果関係とは逆で結果が先行し、原因が後に起こることになる。量子力学などの科学で使用されることがある用語。

バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいなものですね。この映画では主人公が過去に行って自分の両親と接触した結果、両親が結婚に至らないような状況に変えてしまった場合、未来では自分が生まれなくなってしまう、つまり自分が消えてしまうような想定の描写があります。単純に考えれば過去が変わって未来が変わる内容ですねよね(逆因果律ではなく因果律)。しかし、これは「過去を変える」ことが可能という前提があります。過去を変えられるということは、未来の事象が過去の事象に影響を及ぼすということであり、逆因果律ということになりま

す。パラレルワールドがあって、変わった過去の時系列と、変わらなかった過去の時系列の2つに分岐するなんて話もありますがややこしいのでやめておきます。

まず予見者の予想は「過去」の出来事です。そして行為者の選択は「未来」の出来事です。予見者の予想は未来の出来事なのだから、行為者の選択によってもし変わったとしたら、それは未来の事象が過去の事象に影響を与えたということになり、逆因果律を形成しています

もし未来の事象に過去の事象が影響を与えないのだとすれば、不透明な箱(選択肢1)を選ぼうと、透明な箱と不透明な箱(選択肢2)両方を選ぼうと、箱の中身は変わらないはずです。したがって、予見者がいなかった場合と同じような状況のはずなのです。だからこそ、ゲーム理論的に選択肢2を選ぶことが最適な戦略なのです。

しかし逆因果律の場合はどうでしょうか。不透明な箱(選択肢1)を選ぶという事象(未来)が、予見者が行為者の選択肢1を選ぶという予想という事象(過去)に影響を与えるということです。

ガーディアン紙がとったアンケートでは予見者が「super-intelligent-being」、つまり超知能的存在だといわれます。超知能的存在なのだから、逆因果律も可能では?と行為者は予測するかもしれません。

行為者の心理:私は過去を変えられる力をもっているのでは?

もし予見者の予想が逆因果律的だと行為者が推測した場合どうなるか。

つまり、未来の事象が過去の事象に影響を与えると考えたり、予見者が完璧に未来を予見する力を持っているという想定です。

選択肢1:不透明な箱Bをとる
選択肢2:透明な箱と不透明な箱Bをとる

もし予見者のがそのような力を持っていたとしたらどうでしょうか。行為者が選択肢1を選んだら(未来)、予見者は行為者が選択肢1を選ぶと予想していたことになります(過去)。行為者が選択肢2を選んだら(未来)、予見者は行為者が選択肢2を選ぶと予想していたことにになります(過去)。

もしこうした推測をした場合、自分の行為(未来)が予見者の予想(過去)に影響を及せるということにはなりませんか?過去を変化させる自由を持っていると行為者は考えるのです。タイムマシン的ですよね。

もし過去を変化させる自由をもっているのなら、予見者が選択肢1を選ぶと予想するという過去に変えればいいのです。どう変えるのか。選択肢1を選べばいいだけです。つまり、不透明な箱Bをとれば、予見者の予想も行為者は選択肢1を選ぶということになり、不透明な箱には10億円入っているのです

もし透明な箱と不透明な箱B、つまり選択肢2を選んでしまうと、予見者は行為者が選択肢2を選ぶという過去に変わってしまうので、不透明な箱には10億円が入っていない過去になってしまいます。

このような推測を経て、不透明な箱B、つまり選択肢1を選ぶ人のほうが多くなってしまうというわけです。

合理的な戦略をとるということは、ある意味では逆因果律を信じていないということであり、予見者の予想は完璧ではないと考える立場です。

日本人は宗教にあまり慣れ親しんでないので、予見者がいると言われても信じないかもしません。予見者がいないときと同じように、合理的な戦略をとり、得をする可能性が一番高い選択肢2をとるかもしれません。合理的な戦略を考えれば選択肢2を選ぶはずなのに、実際には選択肢1を選ぶ人が多かったというのが受け入れがたい結果であり、パラドックスということなんでしょうね。

すこし複雑でしたが、ニューカムのパラドクスという話は面白いですね。もし予見者が確実に未来を見通せるならば、選択肢1を選ぶほうが合理的だともいえますよね。ゲーム理論的には選択肢2のほうが合理的だという話でしたが、ゲーム理論はそもそも単純な前提に依存しています。もし100%未来が見通せる、あるいは行為者の行動が予見者の予想に100%反映されるという前提なら、ゲーム理論においても選択肢1が支配戦略になるのではないでしょうか。しかしreliable predictorという前提は曖昧模糊としていて捉え難いですね。

「If the predictor has predicted 」という言い方は、予見者が予測するとも予言するともとれますし、あるいは大澤真幸さんのように予想するとも翻訳できます。行為者はいったいどう解釈するんでしょうね。ガーディアン紙の場合は「by a Super-Intelligent Being, who has already made a prediction about what you will do.」という言い方でした。超知能的存在が、すでに行為者の選択を予想していると。超知能的存在だから100%未来が予測できるという前提ではないのです。超知能的という言葉をどのように解釈するかによるんですよね。

期待効用理論(選択肢1を選ぶことこそ合理的だという立場)

Expected utility of one-boxing:
Outcome 1: $1,000,000. Probability: 100%
Outcome 2: $0. Probability: 0%
Expected utility: $1,000,000.
Expected utility of two-boxing:
Outcome 1: $1,001,000. Probability: 0%
Outcome 2: $1000. Probability: 100%
Expected utility: $1000

出典

このサイトの期待効用理論では、選択肢1の期待効用が10億円、選択肢2の期待効用が1000万円ということになります。

この計算は、予見者の予想の精度が100%という仮定に基づいています。選択肢1を選んだ時点で箱Aは100%10億円、選択肢2を選んだ時点で、箱Bは100%0円ということです。

 

One-boxing is the rational choice according to the principle of expected-utility maximization.

出典

そもそも期待効用理論の計算がどうして可能になるのかいまいちわからない。

信頼できる予見者ということで、8割の精度と仮定してみる。

つまり、選択肢1を選んだ場合、不透明な箱Aに10億円入っている確率が8割ということだ。

計算がややこしいので10億を100、1000万を1とする。

0.8√100+0.2√0=8 つまり期待効用は8億円である。

選択肢2の場合、2割の確率で不透明な箱Bに10億円入っていることになる。

つまり、0.2√100=2 つまり期待効用は2億円である。

選択肢2の場合、さらに透明な箱1000万円も手に入る。つまり、期待効用は2.1億円である。

期待効用理論で考えれば8億円と2.1億円を比較することになり、したがって利益を最大にする選択肢は選択肢1となる。

なるほどもっともらしいともいえる。精度が6割だったとしても6億円と4.1億円の比較になるので、やはり選択肢1をとるべきだとなる。

もう一度支配戦略を考えてみる

But then it seems clear that we should be two-boxers, since two-boxing seems to
dominate one-boxing, as the following way of thinking about the outcomes of the
case shows:
The Predictor has placed
$1,000,000 in Box B
The Predictor has placed
nothing in Box B
Two-box $1,001,000 $1000
One-box $1,000,000 $0
There are two possible situations, one in which the Predictor has put the cash in Box
B, and one in which he has not. In either situation, you are better off two-boxing. In
other words, no matter what the Predictor has done, you are better off two-boxing.
So it seems fairly clear that it is rational to be a two-boxer.

出典

たしかに、不透明な箱ひとつより、透明な箱と不透明な箱をとったほうがいいはずだ。

そもそも自分が選ぶという行為によって、その箱の中身が変わるわけではないだろう、とも考えられる。たしかにそうだ。悩んでも箱の中身が変わるわけではない

つまりこれは予見者がいなかった場合と同じ状況にも思える

もう箱の中身は自分が選ぶ前に決まっているのだから、支配戦略的に考えても、箱2つをとるほうがいい

たしかにもっともらしい。合理的にも思えてしまう。頭がぐるぐるしてきた。

逆因果律がありえるかどうかによって変わってくる話のようにも思える。自分が選ぶという未来(現在)の行為が、予見者が入れたという過去の行為に影響を及ぼすなら、不透明な箱のみ、つまり選択肢1を選ぶほうが合理的だ。

しかし逆因果律なんてありえるのだろうか。頭がぐるぐるしてきた。

仮に予見者の予想が100%的中するものだとしたら、その予想に的中するような行動をしてしまうという心理はたしかにわかる。実際に選択肢1を選べば、予見者の予想(選択肢1を選ぶという予想)と一致するからだ。予見者の予想が信頼できるなんて聞いたら、不安になる。それに反する行動をとりたくない。わかる。たしかにわかる。ニューカムのパラドックスのアンケートで選択肢1を選ぶ人が多かったのはわかる。しかし支配戦略が合理的だというのもわかる。どちらがただしいか?わからない

頭がぐるぐるしてきた。何を言っているんだろう。自分の頭の悪さに悲しくなってきた。

支配戦略には確率という概念が入っていないというのがキモなのかもしれません。オカルトを信じない姿勢というか、そういうニュアンスの印象を受けます。見者の予想はもうすでにされていることなのだから、どうせ箱の中身は変わらないし両方を選べばいいじゃん!っていう極めて冷静で明快で単純な判断にも思えるのです。

で、でもでも予見者の予想は高確率で当たるんだし、予見者の予想が選択肢1に合うように、行為者の選択もそれに合わせておこうよ、という心理もわかる。

しかしそれによって逆因果律が発生するのか?おい?過去が変わるのか?それは冷静な判断なのか?というのもわかる。しかし悩んでることすら予想されているかもしれない怖い!

冷静な判断をすれば選択肢2を選ぶはずなのに、選択肢1を選んでしまう。これもまたパラドックスなのかもしれない。大澤真幸さんは選択肢2を選ぶことが合理的なはずなのに、選択肢1を選んでしまうことがパラドックスだと表現していました。

最後に

わたしは心理的に落ち着くために選択肢1を選ぶことにしました。私は確実に選択肢1を選びます

ニューカムのパラドックスについていろいろ議論されているようなので、こちらのサイトを覗いてみるといいかもしれません。英語です。しかも数式がたくさんあります。私は目が回ったので途中で読むのをやめましたが、好きな人もいると思います。

ちなみにこのニューカムのパラドックスはマックス・ウェーバーのプロ倫と大きく影響してきます。つまり、もし予見者が神だったら?という問題です。それが大澤真幸さんがニューカムのパラドックスの例を出した理由です。これは自由意志があるのかどうか、それとも決定論なのかどうかといった問題に直結します。決定論だと考えれば、人間の自由意志はありません。未来は自分で切り開くものなのか、それとも予め定まっているのものなのか。

し、生まれる前に神様がだれが救われてだれが救われないか決めていたらどうしますか?あなたは神様の予見に合うように行動するでしょうか?

参考文献

ニューカムのパラドックス

ニューカムのパラドクス(英語WIKI)

ウィリアムニューカム (英語WIKI)

全能の逆説

 
 
 
 
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蒼村蒼村

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創造を考えることが好きです。

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