【1ワード社会学第十三回(8)】ハーバーマスの「三種類の妥当性要求」

    動画での説明

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    はじめに

    社会学とはなにか

    社会学とは、「社会を対象とする学問」のことである。そして社会とは基本的に「人々の社会的行為の相互作用の集まり」を意味する。

    なぜ社会学が存在するのかについては多種多様な立場があるが、根本的には「社会を分析し、よりよい社会へ導くため」だといえる。社会とはなにか、どう変動していくのかという事実判断やどうあるべきかという価値判断の両方のバランスをとる必要のある学問である。

    【基礎社会学第三六回(1)】エミール・デュルケムの社会学とはなにか、学ぶ意味や価値はあるのか

    この動画チャンネルシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。

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    記事の分割

    (準備中)

    (3) [A]合理性関連

    [3-7]ハーバーマスの「三種類の妥当性要求」

    ハーバーマスますにおける「妥当性」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説

    人びとが妥当性をコミュニケーションで要求し合うことで了解に達することができる能力がコミュニケーション的理性であった。

    「妥当性」は一般的には、「ある命題が正当なものとして認められるだけの根拠をもっている性質」を意味している。たとえば「水は100℃で沸騰する」という命題が実験で経験的に立証されれば、正当なものとして認められ、妥当性があると判断が可能になる。

    妥当性とはいわば「正当化可能性」を意味するということになる。

    たとえば、「水は10℃で沸騰する」という主張における妥当性を我々は批判することが可能であり、そしてその主張が正当化できていないことを示す論拠も提出できる。たとえば実験することなどによって、100℃で沸騰することを示すことができる。

    「客観的真理性」、「規範的正当性」、「主観的誠実性」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説

    ただし、「事実との一致」だけであらゆる命題が正当化されるわけではない。以下の三種類が基本的な妥当性の要求だとハーバーマスはいう。「正しい」という意味あいはひとつではないのである。

    POINT

    客観的真理性発言は客観的事実に照らして正しいというタイプの正当化のこと。

    POINT

    規範的正当性発言は社会的規範に照らして正しいというタイプの正当化のこと。

    POINT

    主観的誠実性発言はうそや冗談ではなく本心を表現しているというタイプの正当化のこと。

    コミュニケーション的行為において、自分の発言にはこうした三種類の正当性が存在するということを暗黙に、潜在的、構造的に主張しているということになる。

    たとえば「静かにしてほしい」と我々が発話するとき、「うるさい」という客観的事実が存在することを主張したり、「うるさいことは社会的に迷惑なことだ」ということを主張したり、「私は本当にうるさいと感じている」ということを、言わずとも、そして本人がそう意識せずとも、内に含んでいる、そのような妥当性を主張している立場に形式上置かれる。

    いわば潜在的に私の発言は真理性があり、正当性があり、誠実性があるものであると他者に対して主張しているわけである。そして妥当性を主張する立場にあるということは、批判を受け付ける立場、その権利を相手に与える立場にあるということも意味する。あるゲームをプレイするならば、規約に同意したことになるというイメージにも似ている。ボクシングのリングに立てば殴るつもりだ、殴られることも覚悟していると発信していることにも似ている。

    ・特に参考にしたページ

    「自己・他者・関係」(社会学ベーシックス),世界思想社,第一刷,242p

    中岡成文「ハーバーマス」,講談社,150p

    大澤真幸,「社会学史」,講談社現代新書,第二刷,528p

    批判可能性

    あくまでも妥当性を主張する立場にあること、そしてその立場は批判を受け付ける立場にあること、いわば「批判可能性」が重要である。

    「実際に批判されること」は対話の必要条件ではない。相手が嘘をついているんじゃないか、相手の根拠が正しくないのではないか、と明確に感じる場面は日常生活においては少ないのではないだろうか。感じたとしても、批判を実際にする機会はあまりないかもしれない。

    しかし「批判をいざとなったらできるという立場にまったくいない」と感じることは少ないだろう(批判することを避けたいと感じる場面は多いだろうが)。そもそも実際に批判されるような強い主張をする機会がそもそも少ないかもしれない(たとえば死刑に反対だ、社会はこうあるべきだなど)。

    もちろん、ほんとうに真理性があるのか、正当性があるのかということがはっきりと意識されたり、他者に批判、異議申し立てされて弁明しなければいけないような場面も存在する。このようなケースをハーバーマスは「討議」と呼ぶ。

    ・特に参考にしページ

    中岡成文「ハーバーマス」,講談社,152p

    コミュニケーション的行為は、正当性を暗黙に前提としている

    後で詳細を説明するが、「コミュニケーション的行為」と「討議」は区別される概念であり、討議は「コミュニケーション(社会的行為)」ではあるが「コミュニケーション的行為」ではない。いわばコミュニケーション的行為を前提とした新たな行為である。

    日常的な相互行為はほとんど「コミュニケーション的行為」のケースが多く、「討議」の場合は少ない(他の相互行為のタイプは後述)。

    また、自分の発言が正当であるという根拠が発話に明示的に含まれていたら全て討議になるというわけでもない。

    たとえば、「この場所では喫煙が禁じられているので、ご遠慮ください」という発話には明示的に規範的正当性が掲げられている。

    しかし、規範的正当性が正しいかどうかという点が主題ではなく、暗黙の前提、すでに正当化されたものとされている。「この場所で禁じることはほんとうに社会的に正しいのか」といったテーマが主題の場合は討議になりうる。

    ・特に参考にしたページ

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993),45-46p

    「客観的世界」、「客観的世界」、「主観的世界」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説

    さらに、これらの妥当性のタイプはそれぞれの世界が対応しているという。

    客観的真理性は「客観的世界」が、規範的正当性は「社会的世界」が、主観的誠実性には「主観的世界」が対応しているという。ただし、世界は存在論な把握というよりも意味論的な把握である。行為者が発話するときにあたりまえ(普通)に前提している三つの参照領域です。

    極論を言えば、意味づける人類が絶滅すれば、そうした領域は完全に消え失せることになるという意味で実体的なものではない。

    意味づけ前の、区分前の「なにものか」は存在するかもしれないが、いずれにせよわれわれが日常的に参照するものではない。たとえば犬や蟻の眼の前に同じような「なにものか」があるとしても、別の世界(たとえば遺伝子の伝達に有利なリストなど)を参照し、意味づけて把握しているといえる。

    「普通は社会的に許されるリスト」や「普通は事実とみなされるリスト」は過去の人類の相互作用の集積の結果生じたものであり、また現在の人類によって集積が解釈され、受け継がれ、変化したものである。

    社会によって、個人によってそれらの領域は異なるが、共通するものも多い。カント的にいえば、先天的に同じ認識装置をもっているからであるといえる(デュルケム的にいえばそれさえも後天的に社会がつくりだしたものだが)。

    また共通するものが多くなければ、コミュニケーションは円滑に進みにくい。「人殺しはよくない」というリストはほとんどの社会で共有されている。それぞれの諸個人が参照する社会的世界のパーツの一つだといえる。

    もちろん、動かしがたいが普遍的で絶対的なものではなく、状況次第では対話によって正当化を問えるものではある。戦争ではどうなのか、正当防衛ではどうなのか、安楽死はどうなのかといった諸問題を考えるとわかりやすい。

    POINT

    客観的世界(独:objektive welt)事実として存在する事物や出来事の総体。経験的に確認可能であり、真偽を問うことができる領域のこと。「客観的真理性」を主張する際に参照されている。

    例:「今日は雨が降っている」。「水は100℃で沸騰する」。「この橋は老朽化している」。

    POINT

    社会的世界(独:soziale welt)社会的にに承認された規範や役割関係の総体のこと。社会的に「そうすべき」とされている秩序の領域。「規範的正当性」を主張する際に参照されている。

    例:「税金は納めなければならない」、「約束は守るべきだ」、「人のものを盗んではならない」

    POINT

    主観的世界(独:subjektive welt)行為者が特権的に接近できる内面的体験の領域。感情、意図、信念、願望など。「本当にそう思っているのか、ウソではないか」といったことが問題となる。「主観的誠実性」を主張する際に参照されている。

    例:「私は本気で反省している」、「私は彼を信頼している」、「私は怖い」

    ・特に参考にしたページ

    「クロニクル社会学」,有斐閣アルマ,第一六刷,144-145p

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993),42p

    四種類目の「適切性」について

    コミュニケーション的行為を行う話し手と聞き手は、意思疎通を行う中で、何らかの事態を何らかの世界へと帰属させているということになる。いずれかの世界に偏って帰属させる場合もあれば、バランスよく帰属させる場合もあるといえる。

    三種類の妥当性要求は三種類の世界にそれぞれ参照していることを学んだ。さらに「三種類の合理性」がこれに関係してくる。

    なお、ハーバーマスは真理性、正当性、誠実性以外に、「適切性」という妥当性を想定していた時期がある(1973年の『真理論』など)。

    しかし、1983年の『コミュニケーション的行為の理論』では、「適切性(理解可能性)」は最終的にはコミュニケーション内で暗黙に掲げられる妥当性ではなく、そもそもコミュニケーションを成り立たせる前提条件として区別されている。

    たとえば「正しい発音で話されている」、「文法的に正しい」、「意味が通る」といった条件が満たされているかがここでは問題になる。

    たとえば「局所的な燃焼反応を伴うエアロゾル生成行為」などと言われて、それが喫煙のことだとすぐに理解できるだろうか。

    この意味で、状況次第で理解可能かどうかが変動するといえる(科学者同士なら理解可能な場合もあるし、わざと小難しくいうという冗談を思案する場面かもしれない)。

    もしこうした条件が満たされていなければ、「コミュニケーションを成り立たせる気はあるのか、何を言っているのか」と我々は批判(異議申し立て)をすることが可能である。

    ・特に参考にしたページ

    「新しい社会学の歩み」,有斐閣アルマ,第一刷,183p

    「新しい社会学の歩み」,有斐閣アルマ,第一刷,186p

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993),57-58p

    参考文献リスト

    今回の主な文献

    J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

    J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

    中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

    中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

    汎用文献

    佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

    佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

    大澤真幸「社会学史」

    大澤真幸「社会学史」

    新睦人「社会学のあゆみ」

    新睦人「社会学のあゆみ」

    本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる

    本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる!

    アンソニー・ギデンズ「社会学」

    社会学 第五版

    社会学

    社会学 新版 (New Liberal Arts Selection)

    クロニクル社会学

    クロニクル社会学―人と理論の魅力を語る (有斐閣アルマ)

    社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

    社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

    参考論文

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (上)」(1993)[URL]

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (中)」(1993)[URL]

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993)[URL]

    嘉目道人「発語媒介効果の不可逆性とフィクションの倫理的責任」(2020)

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    蒼村蒼村

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    創造を考えることが好きです。
    https://x.com/re_magie

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