【1ワード社会学第十三回(9)】ハーバーマスの「三種類の合理性」

    動画での説明

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    はじめに

    社会学とはなにか

    社会学とは、「社会を対象とする学問」のことである。そして社会とは基本的に「人々の社会的行為の相互作用の集まり」を意味する。

    なぜ社会学が存在するのかについては多種多様な立場があるが、根本的には「社会を分析し、よりよい社会へ導くため」だといえる。社会とはなにか、どう変動していくのかという事実判断やどうあるべきかという価値判断の両方のバランスをとる必要のある学問である。

    【基礎社会学第三六回(1)】エミール・デュルケムの社会学とはなにか、学ぶ意味や価値はあるのか

    この動画チャンネルシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。

    できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。

    記事の分割

    (準備中)

    (3) [A]合理性関連

    [3-8]ハーバーマスの「三種類の合理性」

    「認知的・道具的合理性」、「道徳的に実践的な合理性」、「美的に実践的な合理性」

    ハーバーマスは合理性を「認知的・道具的合理性」、「道徳的に実践的な合理性」、「美的に実践的な合理性」に区分している。

    まずはそれぞれ説明していく。

    POINT

    認知的・道具的合理性「事実に合っているか」「目的にうまく役立つか」という点で理にかなっているという性質のこと。事実なのか、役立つのか、効率的なのか、制御できるのか、計算可能かといった点が尺度となる。

    例:病気に対してある薬が有効であったり、ある方法によって売上が実際に伸びるケースなど。科学技術が自然を客体のように扱うケースが典型である。

    POINT

    道徳的・実践的合理性「みんなにとって正しいと言えるか、みんなが納得できるか」という点で理にかなっているという性質のこと。公平か、受け入れられるかという点が尺度となる。

    例:法律として定められている、マナーとして認められているなど。たとえ効率がよくてもみんなが受け入れられないなら、道徳的・実践的合理性は低いといえる。

    POINT

    美的・表出的合理性「本心から出ているか」という点で理にかなっていること。自分に正直かどうかが尺度となる。

    例:好きでもないのに異性に好きだと言うのは、美的・表出的合理性の度合いが低いといえる。

    美的・表出的合理性はすこし理解しにくい。

    たとえば芸術は「外なる自然」と「内なる自然」との関係がポイントとなる。風景や物、出来事などの対象が外なる自然であり、「内なる自然」は感情、欲望、衝動性、身体性などである。

    たとえば外なる自然に触れて生じた内なる自然、つまり体験をどれだけ歪めずに作品として形にできるかという点がポイントとなると考えてみる。

    歪みの程度が低い、つまり、感じたことをできるだけ誠実に表現できているほど美的・表出的合理性が高いといえる。

    たとえば小さい木を見て大きな木を描いたとしても、実際に大きく感じたのなら合理性はあるといえる。大きく感じたのにもかかわらず、「小さく描かないと売れないから」、「流行に反するから」という理由で描いた場合は美的・表出的合理性が低いと言えるのだろう。売れるためだけに、本心とは真逆なことでも曲を作るラッパーを「セルアウト」と批判する人達は、この意味で理解することができる。魂を売り渡した不誠実な人たちというわけだ。

    ・特に参考にしたページ

    中岡成文「ハーバーマス」,講談社,151p

    真善美について

    ハーバーマスは合理性を三種類に分類したが、これはいわゆる「真善美」と関連している。

    たとえば古代ギリシアの哲学者であるプラトンは、真理(アレーティア)、善(アガトン)、美(カロン)を分類し、それぞれイデア(理想、本質)として考えた。

    カントにおける純粋理性は「真を捉える能力」に該当し、実践理性は「善を捉える能力」に該当し、判断力は「美を捉える能力」に該当すると考えることができる。

    現代の機能分化した社会では、真を捉えるのは科学であり、善を捉えるのは法であり、美を捉えるのは芸術であると制度的に主に捉えられることが多い。そうした制度に公的に属する専門家の役目だとされがちであり、日常の人々はそうしたものを考えなくなってきている。

    三種類の合理性のバランスがコミュニケーション的合理性

    ハーバーマスにおける「コミュニケーション的合理性」は、理想的には三種類の合理性が全てが十全に、バランスよく関わっているものだといえる。形式的には三種類の合理性が存在することを相手に主張する立場をとっているということになるわけだ。

    事実的な認識の正当性が存在し、そのうえで規範的な正当性が存在し、そして誠実であるという正当性が存在しなければ建設的な「批判」や「了解」をすることは難しい。異なる正当性がぶつかることもあるだろうが、それは正当性があることを前提としているからである。

    まとめれば、コミュニケーション的理性は三種類の妥当性をそれぞれの合理性を判定尺度として伴って主張する能力であり、かつその妥当性について他者からの批判を受け容れることのできる能力であり、対話による合意を目指すことのできる能力であるといえる。

    「理由を提示し、批判に応答する可能性、開放性」こそが重要なのである。対話する場合は形式的にその能力が発揮されているという前提が構造的に要求されるのだが、しかし十全に発揮されているか、阻害されてるかどうかといった現実的な問題は別の話になる。

    われわれは日常で「コミュニケーション能力」という言葉を使うが、ハーバーマスの概念(コミュニケーション的理性)とはすこし違う。

    なぜなら、たとえ不誠実でも相手をコントロールできるような話術が日常的なニュアンスに含まれていたり、単に事実を簡潔に伝えるだけが狭く能力とみなされる場合があるからである。たとえば面接で思ってもいないことを平気で述べて相手の印象を操作する能力を我々はコミュニケーション能力とみなすことがある。

    大事なのは三種類の合理性がいずれも発揮されている状態であり、偏って発揮されている状態ではない。

    特に近代では認知的・道具的な合理性に偏りがあり、また学問でもこれのみが合理性と扱われる傾向にハーバーマスは批判を行っている。

    勘違いしてはならないのは、「認知的・道具的理性はコミュニケーションに必要ない」といっているわけではないという点である。

    コミュニケーションを円滑にさせる能力を備えている大事な要素であるが、他の合理性が軽視されたり、相互了解ではなく単に支配や制御のための手段として狭く理性が用いられると問題であると批判しているのである(この場合の合理性をとくに目的追求的・戦略的合理性などという)。

    ・特に参考にしたページ

    中岡成文「ハーバーマス」,講談社,151p

    参考文献リスト

    今回の主な文献

    J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

    J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

    中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

    中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

    汎用文献

    佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

    佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

    大澤真幸「社会学史」

    大澤真幸「社会学史」

    新睦人「社会学のあゆみ」

    新睦人「社会学のあゆみ」

    本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる

    本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる!

    アンソニー・ギデンズ「社会学」

    社会学 第五版

    社会学

    社会学 新版 (New Liberal Arts Selection)

    クロニクル社会学

    クロニクル社会学―人と理論の魅力を語る (有斐閣アルマ)

    社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

    社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

    参考論文

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (上)」(1993)[URL]

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (中)」(1993)[URL]

    永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993)[URL]

    嘉目道人「発語媒介効果の不可逆性とフィクションの倫理的責任」(2020)

     

     

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    蒼村蒼村

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    創造を考えることが好きです。
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