【1ワード社会学第十三回(38)】ハーバーマスの「社会統合」、「システム統合」

ユルゲン・ハーバーマス

動画での説明

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はじめに

社会学とはなにか

社会学とは、「社会を対象とする学問」のことである。そして社会とは基本的に「人々の社会的行為の相互作用の集まり」を意味する。

なぜ社会学が存在するのかについては多種多様な立場があるが、根本的には「社会を分析し、よりよい社会へ導くため」だといえる。社会とはなにか、どう変動していくのかという事実判断やどうあるべきかという価値判断の両方のバランスをとる必要のある学問である。

【基礎社会学第三六回(1)】エミール・デュルケムの社会学とはなにか、学ぶ意味や価値はあるのか

この動画チャンネルシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。

できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。

記事の分割

(準備中)

(7)[E]システム関連

[7-5]ハーバーマスの「社会統合」、「システム統合」

ダブルコンティンジェンシー問題の解消

ハーバーマスは社会全体を生活世界とシステムという二つの側面に分けた。

そして生活世界の主な機能を「社会統合」、システムの主な機能を「システム統合」と表現した。

パーソンズやルーマンでいえば、行為調整は「ダブルコンティンジェンシー問題の解消」ということになるのだろう。

自分がどう出るかは相手の出方次第であり、相手から見ても同様であるときの状態のことである。そうした状態ではまともな意思疎通は難しくなるが、現実にはどのように解消(行為調整)されているのかという話である。

社会統合とシステム統合に共通している点は、どちらも「行為調整(行為整合)」を目的としているという点である。もっとも、システム統合の場合は出来事の調整、要素同士のあり方の安定性を意味するのであり、たとえば機械のパーツ同士でも調整が行われているといえる。

つまり、なんらかの「秩序」を生成、維持することが目的なのである。別の側面からいえば、「コンフリクト(矛盾・葛藤)」を避けるということになる。目的論的に考えるというより、そのような結果(機能、出力)があることによって全体が維持されていると記述できる。体温調節が何のためにあるかはわからないが、人間の生命を維持しているとは記述できる。

たとえば道を歩いている人が正面から来たとして、自分が右に行ったら相手も右にくるかもしれない。どっちにくるかわからないという意味でコンフリクトの状態にあるが、現実ではだいたいなんとかなっている(解消されている)。

右へ行きますよ、というなんとなくの兆候が事前に顔や動作などにあらわれているかもしれない。ちょっとした作動でその場その場で秩序が構成されていることもあり、必ずしも法律や習慣、言語などのメディアを必要とするとは限らない。

【基礎社会学第十七回】タルコット・パーソンズの「ホッブズ的秩序問題」とはなにか

ハーバーマスの「社会統合」と「システム統合」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説

POINT

社会統合人と人との間のコミュニケーションを通して行為調整をするという機能のことであり、生活世界において主に実行されている。主に「コミュニケーション的合理性」が発揮される。

POINT

システム統合システム内における要素と要素との間の制御を通して行為調整をするという機能のことであり、システムにおいて主に実行されている。主に「道具的合理性(目的合理性)」が発揮される。

社会統合の例:家族内の話し合いで争いをなくそうとする場合は、社会統合のニュアンスが強い。

システム統合の例:売り手と買い手が対話をしなくても貨幣を通して取引が成立する場合は、システム統合のニュアンスが強い。※もちろんこれらはただの例であり、実際はグラデーションがありうる。たとえば対話によって価格を決め合う場合もあるだろう。

ハーバーマスは生活世界という土台のうえに、システムがあると考えていた。もちろんこれらは「実体的な領域」の区分ではなく、行為調整の性質の違いである。

たとえば生活世界の代表的な領域にみえる家族においてもシステム的な行為調整があるのである。大事なのは家族や市場といった実在的な領域ではなく、どういったメディアに媒介されているか(言語かそれ以外か)、戦略的か了解的かといった性質の差異なのである。もちろん、家族の領域においてはできるだけ意思疎通が重視されるべきだ、といった言い方は可能である。

・特に参考にしたページ

「ブリッジブック社会学」,信山社,玉野和志編,第一刷,151p

中岡成文「ハーバーマス」,講談社,152p

永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993),47p

永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993),55-56p

自立と依存の両義性

ハーバーマス的な理解でいえば、システムは生活世界から分化した、つまり自立したということになる。しかし完全に自立できるわけではなく、結局は生活世界的に依存も同時にしているのである。

ただし、生活世界もシステムに物質的にも規範的にも依存しているのであり、そこから完全に抜け出そうとすることは難しくなっているとハーバーマスはいう。

ルーマン的な言い方をすれば「自律すると同時に依存している」ということになるだろう。たとえば貨幣がなくなっただけで我々の世界の意思疎通は混乱し、貨幣を通した平等や交換の自由という規範が崩壊するといったケースが考えられる。

システムとかけ離れた生活世界の規範は維持、復古しにくくなっているといえる。システム的合理化のポジティブな側面を残しつつ、ネガティブな側面をいかにして緩和するかという点が問題となる。1か0かの単純な話ではなくなっている。

ジンメルの項目で「信頼」が前提となることを学んだが、そうした諸前提は生活世界で主に再生産されている。

貨幣でコミュニケーションできるためには貨幣に対する信頼が必要であり、他者への信頼が必要なのであり、政府の権力を正当であると信頼する必要がある。レヴィナスが「慈悲」を、ジンメルが「信頼」を、デリダが「他者への配慮」を重視したが、ハーバーマスはより包括的に「生活世界における理想的な意思疎通」を重視したということになるのだろう。

・特に参考にしたページ

「ブリッジブック社会学」,信山社,玉野和志編,第一刷,152p

参考文献リスト

今回の主な文献

J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

汎用文献

佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

大澤真幸「社会学史」

大澤真幸「社会学史」

新睦人「社会学のあゆみ」

新睦人「社会学のあゆみ」

本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる

本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる!

アンソニー・ギデンズ「社会学」

社会学 第五版

社会学

社会学 新版 (New Liberal Arts Selection)

クロニクル社会学

クロニクル社会学―人と理論の魅力を語る (有斐閣アルマ)

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

参考論文

永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (上)」(1993)[URL]

永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (中)」(1993)[URL]

永井彰「コミュニケーション行為理論の論理構造 (下)」(1993)[URL]

嘉目道人「発語媒介効果の不可逆性とフィクションの倫理的責任」(2020)

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