【1ワード社会心理学第十四回(5)】パットナムにおける「民主主義の徳」

ロバート・パットナム

動画での説明

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はじめに

社会心理学とは、人間の社会的な振る舞いの法則や仕組みを解明する学問である。

この動画シリーズは下の図に示すように、創造発見学に位置づけられている。

この記事のシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。

できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。※社会心理学だけではなく他の心理学を扱うこともある。

基本的な説明プロセスは、上の図の通りである。

民主主義の「徳」としての社会関係資本

パットナムにおける「民主主義における徳」とは

社会関係資本は上手く行けば他者一般への信頼や寛容さが芽生え、社会参加や政治参加を促し、社会システムへの信頼が増大するといった民主主義にとっての「」をもたらすとパットナムはいう。

・特に参考にしたページ

「社会心理学」,有斐閣,補訂版第二刷,298p

トクヴィルにおける民主主義的価値とは

パットナムの民主主義的価値の重視は、フランスの政治思想家であるトクヴィルの「自発的結社(アソシエーション)」を重視する考え方に遡ることができる。

トクヴィルはアメリカ社会を観察し、人々が自発的に団体をつくること、その中で協力や公共精神が育つこと、それが民主主義を安定させると指摘している。

トクヴィルの言葉を引用する。

貴族的社会では、人々が全体として強力に留置され固められているために、活動するために団結する必要を感じていない。……これに反して、民主的民族では、すべての市民はひとりひとり独立しており、そして一人では弱いのである。彼らはひとりびとりとしては、ほとんど無力なのである。

そしてそれらの市民たちのうちの誰一人として、自分たちの同類者たちを、自分自身に協力させるように強いることはできないであろう。それ故にそこでは、すべての市民は自由に助けあうことを学ばなければ、すべて無力に陥ってしまうのである。

(トクヴィル『アメリカの民主政治』下)

パットナムがハニファンの発言を引用しているが、この引用文はトクヴィルの文章と重なるところが多い。

「『人々の日々の生活において最も重要な実体物とは、すなわち善意、友情、共感、そして社会的単位を構成する人間間、家族間の社会的交流といったものである……個人がひとり取り残されていれば、社会的には弱く頼りないものである。』」

「『……しかし彼が近隣との交流を行い、そしてその近隣が他の近隣と交流することにより、そこには社会関係資本の蓄積が産まれ、それは直ちに彼の社会的必要を満たし、またコミュニティ全体の生活条件を改善するために十分な社会的力を有するものになるだろう。コミュニティは全体として、その部分全ての協力によって恩恵を受け、また同時に個々人も、その属する組織の中に、隣人たちの援助や共感、そして友情という利益を見出すことになる』」

(パットナム『孤独なボウリング』)

・特に参考にしたページ

高野良一「社会関係資本のエートス論── 教育理論の 「可能性の中心」──」(2014),81p

「社会学」、有斐閣、第十一刷,120p

パットナムにおける「啓蒙された自己利益」とは

パットナムは単純な「利他主義」を推奨しているわけではない。パットナムが重視する利益は「啓蒙された自己利益」であり、「他者の利害に敏感な自己利益」だという。

高野良一さんはパットナムの立場を「利他主義的利己主義」であると表現している。他者や社会の利益を考えることが結果的に自分の利益にもなるという考え方である。

ようするに、利他主義的利己主義の「エートス(行為態度、心の習慣)」を身につけることが重要だと考えられているというわけだ。

社会の習慣が個人の態度を形作り、個人の態度も社会の習慣に影響を与えるという相互関係が重要になる。こうした相互関係は社会心理学の用語で言えば「マイクロ=マクロ問題」と呼ばれている。1人ひとりの行動がコミュニティを動かしたり、社会全体を変えていく力をもつのである。そしてこの力は「参加」が必要であり、この参加をいかにして促すのか、強制か自発か、垂直か水平かといった構造の問題が関わってくる。

・特に参考にしたページ

高野良一「社会関係資本のエートス論── 教育理論の 「可能性の中心」──」(2014),81-86p

参考文献

おすすめ文献

ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原名), 柴内 康文 (翻訳) 「孤独なボウリング: 米国コミュニティの崩壊と再生」

ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原名), 柴内 康文 (翻訳) 「孤独なボウリング: 米国コミュニティの崩壊と再生」

汎用文献

社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)

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デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」

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亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」

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参考論文

佐藤誠「社会資本とソーシャル・キャピタル」[2003][URL]

高野良一「社会関係資本のエートス論── 教育理論の 「可能性の中心」──」(2014)[URL]

稲葉陽二,戸川和成,「社会関係資本, 経済格差, 投票率との関係 都道府県データによる考察」(2019)[URL]

長谷川 眞理子「タテ社会日本と学術」(2022)[URL]

北岡一道「研究ノート: ちいさな両手と 2 つのハコ」(2007)[URL]

松村茂樹 「日本における 「サーバントリーダーシップ」 導入:「タテ社会」 を変える試み」(2022)[URL]

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