動画での説明
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はじめに
創造技法の位置づけ
図で整理したものがこちら。
※詳細は第一回や創造発見法の記事で説明している。
問題解決技法を整理すると下の図のようになる。
今回扱う創造技法は「発散技法」あるいは「態度技法」に位置づけられる。
※発散技法とはアイデアをたくさん出していく技法のこと。
記事の分割について
記事を分割しています。
来たるべき取材に備える方法
「潜在探索技法」
「潜在探索技法」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
POINT潜在探索技法:特定の目的を持たず、好奇心を働かせて取材をするための技法のこと。
仕事で特定の商品を開発するため、テストの成績をあげるため、研究結果を出すためといった特定の目的をいかにして意図的に遮断するかが重要となる。
大前提として、人間は「理解できるもの」を好む傾向がある。たとえば水戸黄門はオチが決まっているから多くの人に好まれている。新作の漫画やゲームよりも、自分が既に面白いと思っているジャンル・シリーズの新作や読み返しのほうが好まれることがある。
「物理学」を専門に勉強している人は社会学や経済学、文学を勉強しない傾向がある。その逆も同じである。自分に馴染みのない分野に接することは苦痛を伴うこともある。
ゴードンによる「馴質異化」
たとえばアメリカの心理学者であるウィリアム・ゴードンは、「見慣れた世界に落ち着いてしまう防衛反応」を捨て去る技法を「馴質異化(じゅんしついか)」と名づけている(詳細は創造技法第五回の動画を参照)。
具体的には直接的類比、擬人的類比、象徴的類比、空想的類比といった手法が提案されている。たとえば「蟻はお互いにぶつかりながら道を作る」というパターンを、「学校のグループ活動」へと関連づけて考えてみるようなケースである。
こうした類比は情報のストックがなければ時間がかかってしまうので、常に既に備えておく必要がある(潜在的に準備しておく)。アリの活動を知らなければ先程の類比は出てこない。
たとえば飛行機の設計者はクマを見ているとき、鳥を見ているとき、川の流れを見ているときでさえも「なにかヒントがあるかもしれない」と思って観察するかもしれない。あるいは動物学の書籍を日頃から読んでおくかもしれない。「鳥の翼の構造は飛行機の形に応用できる」といった発見が生じうる。
パターン・ランゲージを潜在探索に利用する
「ただ読むだけでは忘れてしまう」という点を押さえておく必要があると私は考える。もちろん潜在的な記憶として残り、必要なときに上手くでてきてくれる可能性もある。
かといってすべての文献を手元においたり、メモしたりすることも時間的な制約から考えると無理がある。そこで、「パターンとして簡易的にストックしておけばいざとなったときに関連付けられる」のではないかと私は考える。
つまり、創造のためにパターン・ランゲージの形式を利用するのである(パターン・ランゲージについては別の動画で説明している。詳細にリンクをはっておく)。
今回の動画でも緩いパターン・ランゲージである「プレパターン・ランゲージ」を用いている。こうした手法は社会学者のニクラス・ルーマンのカードによる創造法(ツェッテルカステン)とも関連してくるだろう(創造技法第一回の記事で説明)。
創造技法PPL n=13(情報を冷やかしてみる)
教訓
材料七分、腕三分
材料が悪ければどうにもならない
社会学者の加藤秀俊さんは板前さんに取材し、「包丁の腕も大事だが、材料七分、腕三分といったところでしょう」という話を聞いたそうだ。「材料が悪ければどうにもならない」ことが他の多くの職人さんにも共通していたという。
もし情報が「料理の材料」だとすれば、目利きの技術が必要になる。お金さえあれば手に入るものではなく、経験や知識が必要になる。材料を獲得する技術と、材料を使って調理する技術の両方が必要になるのだ。
潜在的機能、掘り起こし技法
社会学理論を学んでいるときでさえ、取材の技術が手に入ることが多い。たとえばマートンの社会学を通して「潜在的機能」や「掘り起こし」といった技術を手に入れることができる。
POINT潜在的機能(英:Latent Function):社会制度や行為が、人々が意図していない形で社会に与えている隠れた働きのこと。例:雨乞いの儀式は「雨を降らせること」を表面的には目的にしているが、「共同体の結束を強める」という機能がある。
POINT掘り起こし(英:Serendipity Pattern):研究中に予想していなかった重要な発見をきっかけに、新しい考えや理論が生まれたり、もとの理論が発展したりすること。例:健康調査をしていたら、新しい生活習慣の特徴を発見したケース。
もしそれぞれの分野の人物が、平明に、短く「パターン・ランゲージ」という形式でコツを提示できたら社会全体のリソース(柔軟性、備え、情報源)を増大させることができる。
「もしAがきたらXかYしかない」といった硬直性のもとでは、不健全な選択肢が選ばれる可能性は高くなる。社会の健全性のためにも、日常の人々が理解できる形でパターンを提供していく必要があるのではないだろうか。自分には役に立たないパターンも、他の人には役に立つ場合がある。
良質な質問は良質な問題意識と深く関わっている
「良質な質問は良質な問題意識と深く関わっている」点も重要である。
社会的な問題(例:人種差別をなくしたい)であれ個人的な問題(例:出世したい)であれ、なにかを取材するに値する、解決するに値するという意識(価値判断)が必要になる(価値の高まりによる取材の偏りにも注意)。そうした意識の質によって、調査の質が変わるのである。意識が低いと文献の調査が不足したり、現地の調査で質問が適当になったりしてしまう可能性がある。
基本的には、「問題意識→取材→加工」の順番になるが、取材や加工によって思わぬ問題意識が形成されていく場合がある。
たとえば大学の授業や仕事の業務でしかたなく情報を取材している場合でも、関心のある問題を発見することがある。取材や加工を続けていくことで問題意識はより体系的で豊かになっていく効果も期待できる。
参考文献リスト
今回特に参考にした文献
加藤 秀俊「取材学: 探求の技法 (中公新書 410) 」
汎用文献
高橋 誠「問題解決手法の知識」
鷲田 小彌太「分かる使える思考法事典: アイディアを生み出し、形にする50の技法」
鷲田 小彌太「分かる使える思考法事典: アイディアを生み出し、形にする50の技法」
三谷宏治「マジビジプロ 超図解 三谷教授と学ぶ 「拡げる」×「絞る」で明快! 全思考法カタログ」
三谷宏治「マジビジプロ 超図解 三谷教授と学ぶ 「拡げる」×「絞る」で明快! 全思考法カタログ」
B.ミラー (著), 弓野 憲一 (監修, 翻訳), 宗吉 秀樹 (翻訳) 「創造的問題解決: なぜ問題が解決できないのか?」
B.ミラー (著), 弓野 憲一 (監修, 翻訳), 宗吉 秀樹 (翻訳) 「創造的問題解決: なぜ問題が解決できないのか?」
高橋 誠 「新編創造力事典: 日本人の創造力を開発する」
参考論文
竹下 俊郎「メディア研究における量的研究法の意義」(2019)[URL]
盛山和夫「説明と物語,社会調査は何をめざすべきか」(2014)[URL]
Shadbolt, N. & Smart, P.R. (2015). _Knowledge Elicitation: Methods, Tools and Techniques._ In J. R. Wilson & S. Sharples (Eds.), _Evaluation of Human Work_ (4th ed.). CRC Press.[URL]
A Multi-Disciplinary Review of Knowledge Acquisition Methods: From Human to Autonomous Eliciting Agents: George Leu, Hussein Abbass(UNSW Canberra, Australia) : Knowledge-Based Systems, vol.105, Elsevier(arXiv:1802.09669)
2016[URL]
Satish Prakash Chand「Advances in Educational Research and Evaluation」Volume 6, Issue 1, 2025[URL]







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