【創造技法第9-2回】「文献探索技法」とは

発散技法

動画での説明

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はじめに

創造技法の位置づけ

図で整理したものがこちら。

※詳細は第一回や創造発見法の記事で説明している。

問題解決技法を整理すると下の図のようになる。

今回扱う創造技法は「発散技法」あるいは「態度技法」に位置づけられる。

※発散技法とはアイデアをたくさん出していく技法のこと。

記事の分割について

記事を分割しています。

文献を探す方法

「文献」の種類の整理

文献とはなにか

POINT文献探索技法知識や考えなどの情報が記録された資料を探すための技法のこと。文字による資料だけではなく、映像、音声、図表などの資料を含んでいる。

例:学術論文、雑誌、新聞、会議録、法令、小説、インタビュー映像、映画、ラジオ番組、オーラルヒストリーの録音など。

たとえば人類学では一次文献(論文)を情報源にして論文を執筆する場合がある。この場合、執筆された文献は二次文献となる。たとえばAという部族を分析した論文Xと、Bという部族を分析した論文Yの共通点を論じる場合は二次文献である。

一次文献は主に、現地のフィールドワーク、インタビューなどによる取材(いわば0次文献)によって執筆されている。研究(リサーチ)は大きく、質的研究と量的研究に分けられることがある。どのような「文献」の種類があるのかを理解する必要がある。

日常的理論と科学的理論の違い

科学、そして日常において、われわれは情報を取材し、知識として加工・解釈し、利用している。たとえば自転車に乗ってみることでさえ一種の取材であり、「乗り方のコツ」を体得するプロセスであり、理論化が行われている。

しかしそうした日常の理論は明確に意識されず、体系的に整理されて言語化されることは少ない。体系性、整合性、明確性、実証性などが伴って「科学的理論」といえるのである。

特に、「共有可能性(客観性)」を満たさなければ科学的説明とはいえない。

社会学者の盛山和夫さんによると、物語(出来事や事象を互いに意味のある関係として配置し、世界を秩序あるものとして理解できるようにする語り)と説明(理屈として筋が通っている)は対立するものではないという。最低限の科学的説明を前提として、いかに物語を付与して理解を促していくかという視点が重要になる。

学問において研究する場合、社会科学では「実証的研究」と「理論的研究」に大きく分けることができる。

・特に参考にしたページ

盛山和夫「説明と物語,社会調査は何をめざすべきか」,12-13p

質的研究と量的研究の違い

実証的研究はさらに、「質的研究」と「量的研究」に大別することができる。

POINT実証的研究観察された諸事実について科学的に説明したり、理解したりする研究のこと。例:統計調査、フィールドワーク、インタビューなどに基づいて仮説を検証、発見する。

POINT理論的研究実証的研究を行うための枠組み、道具を考える研究のこと。例:「社会」や「構造」という概念について体系立てて整理する。

たとえばウェーバーの「理念型」やデュルケムの「社会的事実」、マートンの「中範囲の理論」といった概念構築も理論の一種である。情報を整合的に解釈するコツ(道具)のようなものである。

POINT量的研究(英:Quantitative Research):値として表せるデータを集めて分析する研究のこと。個々の対象ではなく、多くを対象とした特定の集団の特徴や傾向が分析対象になりやすい。

例:1000人にアンケートを行い、年代ごとのSNS利用率を調べる統計調査。説得メッセージの種類を変えて、態度変化を測定する実験。映像や文章の数値化による内容分析など。

POINT質的研究(英:Qualitative Research):数値では表しにくい言葉や行動、経験などを詳しく分析する研究。

例:インタビュー研究、エスノグラフィー(例:宗教集団の日常実践を調査する)、ライフヒストリー研究(例: 移民の人生経験を聞き取る)、ケーススタディ(例:ある企業の組織変革過程を研究する)、会話分析(例:医療場面で医師と患者がどのように関係を作るかを分析する)など。

学問における文献は「実証的研究の文献」と「理論的研究の文献」に整理することができる。

・特に参考にしたページ

竹下 俊郎「メディア研究における量的研究法の意義」(2019),3-4p

質的調査の文献の下位分類

さらに質的調査の文献は公的文書、個人文書、組織文書に分類される場合がある(Satish Prakash Chand,2025)。量的調査は、たとえば国勢調査や世論調査などの数量化された資料を用いることができる。

POINT公的文書(英:public documents):政府や公共機関などが作成する公式記録。

例:政府報告書、政策文書、新聞、公式声明など。教育改革を研究する場合、教育政策、予算資料、大臣の演説などを分析することで、教育政策の変化を追跡できる。

公式記録だから事実だと思い込むのではなく、バイアスがあるかどうかを意識する。

POINT個人文書(英:personal documents):個人が自分自身の経験や考えを記録した文書のこと。例:日記、手紙、自伝、写真、ブログ、SNS投稿など。

たとえば移民の手紙や日記を分析することで、移住の苦労や新しい社会への適応過程を理解するための情報などが手に入る。個人文書は本人の視点に基づくため、客観的な事実を完全に示すとは限らないことに注意する必要がある。

POINT組織文書(英:organizational documents):企業、学校、行政機関、NPOなどの組織が、運営、管理、意思決定、業務遂行のために作成・保存する文書のこと。

例:組織報告書、会議議事録、従業員ハンドブック、業務マニュアルなど。

組織文書を分析することで、組織の意思決定の仕組み、権力関係、組織文化、運営方針、制度の実際の運用などを理解できる。

・特に参考にしたページ

Satish Prakash Chand「Advances in Educational Research and Evaluation」Volume 6, Issue 1, 2025,311-312p

「文献探索技法」とは

POINT文献探索技法知識や考えなどの情報が記録された資料を探すための技法のこと。文字による資料だけではなく、映像、音声、図表などの資料を含んでいる。

文献探索は「情報の探し方」と「情報の絞り方」の2段階に分けることができる。たとえば取材に必要だと考えた書籍を10冊見つけたとする。この10冊を必ずしも全て読む必要はない。

自分の問題発見に関連のありそうな箇所に「絞る」ような技法があると取材が楽になる。問題発見のための時間は有限であり、どこかでキリをつける必要がある。そのため、効率的に取材することが重要になる。

加藤秀俊さんは『取材学』において「リファレンスブックを使う」という「情報の探し方」を紹介している。

POINTリファレンスブック(英:reference book):必要な情報をすぐに調べたり確認したりするために作られた参照用の本のこと。最初から最後まで続けて読むのではなく、知りたい事項を必要なときに引いて使う。

例:百科事典、辞書など。

たとえば社会学には「社会学文献事典」という本がある。膨大な量の社会学の書籍の概要、議論、意義などがコンパクトに説明されている。

タイトル名だけではどんな本かイメージできない場合、あるいはそもそもどのような先行研究があるのかわからない場合に役立つ。人類学では民族誌を整理・検索するために用いる文化項目分類表であるHRAFが存在する。カテゴリーを指定すれば、それに関連した文献の評価や概要が出てくる。

「特定の先行研究についてまとめた論文」、いわば小さな「リファレンス論文」などもウェブで探しているとたまにあるので、探してみるといいかもしれない。図書館を使う際のテクニックや論文を調べる際のテクニックはこの動画では詳細に扱わない。

AIに「おすすめの文献を探してきてもらう」といった使い方も便利である。とくに、英語の文献は日本語話者にとって探しにくいので重宝する。

・特に参考にしたページ

加藤秀俊「取材学」,43p

創造技法PPL n=3(最初は広角レンズで文献探索)

創造技法PPL n=4(索引から情報を探してみる)

創造技法PPL n=5(見出しで全体を把握する)

参考文献リスト

今回特に参考にした文献

加藤 秀俊「取材学: 探求の技法 (中公新書 410) 」

加藤 秀俊「取材学: 探求の技法 (中公新書 410) 」

汎用文献

高橋 誠「問題解決手法の知識」

高橋 誠「問題解決手法の知識」

鷲田 小彌太「分かる使える思考法事典: アイディアを生み出し、形にする50の技法」

鷲田 小彌太「分かる使える思考法事典: アイディアを生み出し、形にする50の技法」

三谷宏治「マジビジプロ 超図解 三谷教授と学ぶ 「拡げる」×「絞る」で明快! 全思考法カタログ」

三谷宏治「マジビジプロ 超図解 三谷教授と学ぶ 「拡げる」×「絞る」で明快! 全思考法カタログ」

B.ミラー (著), 弓野 憲一 (監修, 翻訳), 宗吉 秀樹 (翻訳) 「創造的問題解決: なぜ問題が解決できないのか?」

B.ミラー (著), 弓野 憲一 (監修, 翻訳), 宗吉 秀樹 (翻訳) 「創造的問題解決: なぜ問題が解決できないのか?」

高橋 誠 「新編創造力事典: 日本人の創造力を開発する」

高橋 誠「新編創造力事典: 日本人の創造力を開発する」

参考論文

竹下 俊郎「メディア研究における量的研究法の意義」(2019)[URL]

盛山和夫「説明と物語,社会調査は何をめざすべきか」(2014)[URL]

Shadbolt, N. & Smart, P.R. (2015). _Knowledge Elicitation: Methods, Tools and Techniques._ In J. R. Wilson & S. Sharples (Eds.), _Evaluation of Human Work_ (4th ed.). CRC Press.[URL]

A Multi-Disciplinary Review of Knowledge Acquisition Methods: From Human to Autonomous Eliciting Agents: George Leu, Hussein Abbass(UNSW Canberra, Australia) : Knowledge-Based Systems, vol.105, Elsevier(arXiv:1802.09669)
2016[URL]

Satish Prakash Chand「Advances in Educational Research and Evaluation」Volume 6, Issue 1, 2025[URL]

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