【1ワード社会学第十三回(1)】ハーバーマスにおける「コミュニケーション行為理論」

ユルゲン・ハーバーマス
  1. 動画での説明
  2. はじめに
    1. 社会学とはなにか
      1. 記事の分割
  3. 動画での説明
  4. はじめに
    1. 社会学とはなにか
  5. 前提
    1. 「コミュニケーション行為理論」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
    2. 理解の方向性の概括
      1. 【1】現実の社会はどこかが上手くいっていないのであり、不健全に見える
      2. 【2】現実の社会を上手く捉えることのできる社会学理論が存在しない
      3. 【3】「コミュニケーション行為理論」こそが社会のあり様を捉え、治療法を打ち出すことのできる理論である
      4. 【4】コミュニケーション行為理論は規範理論である
    3. 理解すべきワード
      1. 【1】コミュニケーション的合理性(コミュニケーション的理性)に関する基礎ワード
      2. 【2】全体社会に関する基礎ワード
      3. 【3】社会診断に関する基礎ワード
      4. 【4】今回の動画で言及した人物の例
  6. 参考文献リスト
    1. 今回の主な文献
      1. J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」
      2. 中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」
    2. 汎用文献
      1. 佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」
      2. 大澤真幸「社会学史」
      3. 新睦人「社会学のあゆみ」
      4. 本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる
      5. アンソニー・ギデンズ「社会学」
      6. 社会学
      7. クロニクル社会学
      8. 社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

動画での説明

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はじめに

社会学とはなにか

社会学とは、「社会を対象とする学問」のことである。そして社会とは基本的に「人々の社会的行為の相互作用の集まり」を意味する。

なぜ社会学が存在するのかについては多種多様な立場があるが、根本的には「社会を分析し、よりよい社会へ導くため」だといえる。社会とはなにか、どう変動していくのかという事実判断やどうあるべきかという価値判断の両方のバランスをとる必要のある学問である。

【基礎社会学第三六回(1)】エミール・デュルケムの社会学とはなにか、学ぶ意味や価値はあるのか

この動画チャンネルシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。

できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。

記事の分割

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動画での説明

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はじめに

社会学とはなにか

社会学とは、「社会を対象とする学問」のことである。そして社会とは基本的に「人々の社会的行為の相互作用の集まり」を意味する。

なぜ社会学が存在するのかについては多種多様な立場があるが、根本的には「社会を分析し、よりよい社会へ導くため」だといえる。社会とはなにか、どう変動していくのかという事実判断やどうあるべきかという価値判断の両方のバランスをとる必要のある学問である。

【基礎社会学第三六回(1)】エミール・デュルケムの社会学とはなにか、学ぶ意味や価値はあるのか

この動画チャンネルシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。

できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。

前提

「コミュニケーション行為理論」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説

POINT

コミュニケーション行為理論(英:theory of communicative action)コミュニケーション的行為を社会的行為の基礎的な土台として捉えることによって相互作用からなる社会秩序の維持や再生産、変動を記述したり、システムと生活世界からなる全体社会を把握することを目指す理論のことである。

コミュニケーション行為理論は記述理論であるだけではなく、現実の社会を診断してその治療法を提出する規範理論でもある。

ハーバーマスはドイツの哲学者であり、社会学者である。代表的な著作は『公共性の構造転換』(1962)や『コミュニケーション行為理論』(1981)である。

理解の方向性の概括

ハーバーマスの述べる内容は難解なので、一度ざっくりと概略を整理し、学ぶべき基礎ワードをとりだしていく。

※参照先は各項目で扱い、概括では省略する

また、基礎ワードの前提となる基礎知識も、各項目でできるだけ取り扱っていきたい。表面的な理解ではなく、体系的な理解を目指していきたい。

【1】現実の社会はどこかが上手くいっていないのであり、不健全に見える

具体的にいえば労働者の疎外、戦争による虐殺、核戦争、環境問題、人口爆発、精神病の蔓延などである。いったい何が原因でそのような不健全な状態が起きているかを捉えることが必要になる。

【2】現実の社会を上手く捉えることのできる社会学理論が存在しない

パーソンズのようなマクロな社会学理論、シュッツのようなミクロな社会学理論、そしてアドルノやホルクハイマーのような批判理論では社会を十分に分析することができないとハーバーマスは考える。社会がどうなっているかを記述、分析できなければ、漠然と不健全であると実感することしかできず、その有効な治療法を提示することができない。独りよがりな考察や、たんなる抽象的な批判に終始してしまう可能性がある。

【3】「コミュニケーション行為理論」こそが社会のあり様を捉え、治療法を打ち出すことのできる理論である

社会が健全であるためには「社会秩序」が必要である。そして「社会秩序」は「諸個人の相互行為」から成り立っている。行為を分析するような理論、すなわち「行為理論」を構築する必要がある。特に、基礎的な単位を孤立的な個人の意味付けに基づく行為とするのではなく、「間主観的な行為(相互行為)」とし、相互行為の中でも特に「コミュニケーション的行為」を土台に理論を構築する必要があるとハーバーマスは考える。

社会を健全にする重要な要素として意思疎通を前提とした「コミュニケーション的合理性」、「コミュニケーション的理性」をハーバーマスは考えている。

また、コミュニケーション的行為のなかでも、とりわけ「言語行為」をハーバーマスは重視することに特徴がある。

意思疎通は「発話(言語行為)」を通して達成されることが基本であるとハーバーマスは考える。

オースティンやウィトゲンシュタインの「言語行為論」を批判的に分析することで、社会的行為の基本的なタイプとして「戦略的行為(目的論的行為)」と「コミュニケーション的行為」を明確に区別し、前者は後者の寄生概念に過ぎないことを示す必要がある。

意思疎通が目的活動に還元できない独自の構造をもつことを示すことで、「コミュニケーション的理性」の存在を提示することが可能になる。

その上で、あるコミュニケーションにおいて、本来ならば「コミュニケーション的理性」が発揮されるべきところを、過剰に「道具的理性(システム的合理性、目的合理性)」によって侵蝕されることで、社会的に不健全な事態が生じてしまっていることを分析することができるようになるという。

このような不健全な侵食・越境のことを「生活世界の植民地化」という。この病原を治療しないといけないというわけである。

また、「生活世界」を「コミュニケーション的行為」によって把握し、さらに「生活世界」を基準にしてはじめて「社会システム」を理解することが可能になるという。

現代社会はもはやシステム的合理性なしでは円滑にものごとが進まず、コミュニケーションも成り立ちにくくなっている。大事なのは越境であり、システム合理性自体は排除すべき病原ではないという。ポジティブな要素とネガティブな要素を見つめる両義性の視点が必要だという。

システム的な観点と生活世界的な観点の両方から社会秩序の生成、維持、変動を考慮する必要があり、マクロとミクロを統合するような新しい理論の構築が目指されているのである。

【4】コミュニケーション行為理論は規範理論である

コミュニケーション行為理論は、社会の秩序がどうなっているかを記述するだけではなく、どういった秩序のあり方が望ましいのか、社会はどの方向に進化・発展していくべきかという「規範」を提示するものである。

こうした規範はのちに、「討議倫理学」として規範に特化して構成されることになる。簡潔に言えば、具体的な内容ではなく、対等で自由であるべきといった討論の形式のみの規範を理論的に把握しようとするものである。

『コミュニケーション行為理論』が意思疎通の普遍的条件を明らかにするものであるとすれば、その条件を満たすような形式を倫理とするわけである。つまり、人が従うべき普遍的なルールとするわけである。

ハーバーマスは人間には「理性や合理性」といった素晴らしい能力があると考えている。たしかに人間は理性や合理性を偏って用いることがあり、社会的秩序の崩壊につながることもある。

しかし、感情的なものや伝統的なものといった非理性的なものや非合理的なものに単に回帰するのではなく、あくまでも「理性」や「合理性」を用いて、その範囲内で伝統や感情、無意識といったものを保持し、秩序を構築することを目指していくのである。その意味でハーバーマスは理性の弱点と限界をわきまえた「理性的啓蒙主義者」なのである。

社会の不健全さの原因は対話的合理性に対してシステム的合理性が侵蝕、越境してくることにあり、それぞれの合理性自体が不健全なのではない。

批判すべきはこの「越境(生活世界の植民地化)」であり、これをなんとかするような社会的条件を整えなければならない。これが社会の治療につながっていくというわけである。

理解すべきワード

コミュニケーション的合理性の関係図はこのようになる。

※あくまでも暫定的な整理である。それぞれの用語を理解するためには別の用語を理解する必要もある。したがって、何度も説明が重複する場合があるがご容赦いただきたい。

【1】コミュニケーション的合理性(コミュニケーション的理性)に関する基礎ワード

「コミュニケーション的合理性」を理解するためには「行為理論」を理解する必要がある。さらに、「行為理論」を把握するためには「言語行為」を理解する必要がある。すなわち、「合理性(理性)」、「コミュニケーション的行為」、「言語行為」が中心となる分野である。

(A)合理性関連

・「コミュニケーション的合理性」、「システム的合理性」、「目的合理性」、「価値合理性」、「三種類の合理性(認知的・道具的合理性、道徳的に実践的な合理性、美的に実践的な合理性)」

・「コミュニケーション的理性(対話的理性)」、「道具的理性」、「認知的理性」、「理性の党派性」、「妥当性要求(理論的・道徳的・美的)」、「世界(社会的・客観的・主観的)」、「批判理論」、「大きな物語の終焉」、「鉄の檻」など

(B)「コミュニケーション的行為」関連

「行為」、「社会的行為」、「相互行為」、「コミュニケーション」、「規範に規制された行為」、「ドラマツルギー的行為」、「会話(情報交換)」、「戦略的行為」、「道具的行為」、「目的合理的行為」、「目的論的行為」、「討議(理論的討議、実践的討議、治療的討議)」

・「強制」、「権力」、「意思疎通」、「合意」、「了解」、「情報伝達」、「認知」、「承認」など。

(C) 言語行為関連

・オースティン関連の前提用語:「発語行為」、「発語内行為」、「発語媒介行為」、「言語論的転回」。※詳細は1ワード社会学第十二回の動画を参照。ただし、今回も軽く扱う。

・「発語内的成果」、「発語媒介効果」、「コミュニケーション論的転回」、「形式語用論(普遍語用論)」、「自生/寄生」、「四種類の類型(意思疎通型、事実確認型、規制型、表出型)」など

【2】全体社会に関する基礎ワード

「全体社会」は主に「生活世界」と「システム」という2つの層からなっている。

ただし、「生活世界」を把握するために「コミュニケーション的合理性」の把握が必要であり、さらに「システム」を把握するためには「生活世界」の把握が必要であるという関係を理解する必要がある。

つまり、システム概念は生活世界の概念を前提にしてのみ成立する、理解できると考えられている。

(D) 生活世界関連

「生活世界」、「間主観性」、「無傷の間主観性」、「個体化」、「社会化」、「生活形式」、「背景知」、「生活世界の合理化(構造的分化、形式と内容の分離、文化的再生産の反省化)」、「生活世界の分析的区分(文化、社会、パーソナリティ)」、「文化的伝統(価値・規範)」、「言語的な解釈パターンのストック」、「社会統合」など。

(E) システム関連

「システム」、「サブシステム」、「システム統合」、「機能分化」、「複雑性」、「経済システム」、「政治システム」、「システム的合理化」、「制御メディア(貨幣、権力)」など

【3】社会診断に関する基礎ワード

「コミュニケーション行為理論」という社会学理論を通して現実の社会を分析すると、どのような事態が生じているかが見えてくる。

近代的合理化は生活世界の合理化とシステムの合理化というそれぞれのポジティブな成果をもたらしたが、同時に、「生活世界の植民地化」というネガティブな成果ももたらしている。

図にするとこのようなイメージとなる。

(F) 「生活世界の植民地化」関連

「内的植民地化」、「貧困化」、「技術化」、「後期資本主義」、「福祉国家」、「国家の干渉主義」、「大衆民主主義」、「創造的可能性の喪失」、「体系的に歪められたコミュニケーション」、「非合理主義」、「新保守主義」、「公共圏の喪失」、「神経過敏」、「悲観主義」、「批判理論」など。

(F) 治療方法関連

「真理の討議説」、「未完のプロジェクト」、「討議倫理」、「討議倫理学原則」、「普遍化原則」、「理性的啓蒙」、「社会進化」、「生活世界の植民地化から脱出する3つの方法(家族における社会化、マスメディア、異議申し立て)」、「変換器としての法」など。

【4】今回の動画で言及した人物の例

哲学・思想関連(フッサール、ハイデガー、レヴィナス、アーレント、リオタール、クーン)、心理学関連(ピアジェ)、社会学関連(ウェーバー、デュルケム、ジンメル、ミード、ゴフマン、シュッツ、マンハイム、パーソンズ、真木悠介)、分析哲学関連(ウィトゲンシュタイン、オースティン、サール)、論争相手関連(ルーマン、ガダマー、ポパー、デリダ、フーコー)、批判理論関連(ヘーゲル、マルクス、アドルノ、ホルクハイマー)、その他(ベイトソン、ゲーレン、トイプナー、アドラー)。

参考文献リスト

今回の主な文献

J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

J.(ユルゲン) ハーバーマス (著), 河上 倫逸 (翻訳), 平井 俊彦 (翻訳) 「コミュニケイション的行為の理論 上」

中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

中岡成文「ハーバーマス (現代思想の冒険者たちSelect)」

汎用文献

佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

佐藤俊樹「社会学の方法:その歴史と構造」

大澤真幸「社会学史」

大澤真幸「社会学史」

新睦人「社会学のあゆみ」

新睦人「社会学のあゆみ」

本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる

本当にわかる社会学 フシギなくらい見えてくる!

アンソニー・ギデンズ「社会学」

社会学 第五版

社会学

社会学 新版 (New Liberal Arts Selection)

クロニクル社会学

クロニクル社会学―人と理論の魅力を語る (有斐閣アルマ)

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

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