動画での説明
よろしければサイト維持のためにチャンネル登録をよろしくお願いしますm(_ _)mモチベになっていますm(_ _)m
はじめに
社会心理学とは、人間の社会的な振る舞いの法則や仕組みを解明する学問である。
この動画シリーズは下の図に示すように、創造発見学に位置づけられている。
この記事のシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。
できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。※社会心理学だけではなく他の心理学を扱うこともある。
基本的な説明プロセスは、上の図の通りである。
[4-7]タテ社会の日本における社会関係資本
中根千枝さんにおける「タテ社会」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
タテ社会(英:vertical society):1ワード社会心理学第十四回目の六分割目の記事です。
社会人類学者の中根千枝さんによる概念。代表作は『タテ社会の人間関係』(1967)である。
たとえば日本では集団内部において先輩/後輩などの年齢による序列(先に入ったかどうかで年齢が下でも先輩になりうる)、内と外の区別、所属集団への忠誠などが重視されているという。縦社会的な構造は家族、学校、会社など、多くの集団で見られるという。
他の国でも軍隊や企業などにおいて上下関係は存在する。しかしそうした社会では主に「機能(役割・能力)」が組織運営の原理として重視され、「関係(所属・序列)」はそれに従属する傾向がある。これに対して日本社会では、「機能」も考慮されるが、「関係」がより前面に出やすいという点で重心の違いがあるといえる。
より簡単にいえば、日本では「何をいうか、どのような能力をもっているか」ではなく、「どこに所属しているか、何歳か(どれくらい所属していたか)」が重要になるというわけだ。
たとえば「有能な新人」よりも「無能な内部の年長者」のほうが会社で高い位置につくということが昔の日本ではありえた(年功序列、終身雇用形態。在籍年数で昇進するかが決まる)。現代では成果主義や中途作用、専門職化が進んでおり、重心はスライドしつつあるといえる。
中根さんは自分の著作は「日本社会はどうあるべきか、どのように進むべきか、などという問題を扱うものではない」と述べ、タテ社会が良いか悪いかといった価値判断には踏み込んでいない。
一方で、場(所属)を基軸とする構造は、組織の動員力や安定性を高める側面を持つと考えられている。たとえば、地位が短期的に能力によって大きく左右されにくいことは、個人に長期的な役割遂行や能力形成を促す条件となりうる。当時(1950~1960年代)は大量生産・大量消費の時代であり、個人の突出した能力よりも組織への適応、強調、継続性のほうが有効だったのだろう。
・特に参考にしたページ
「社会心理学」,有斐閣,補訂版第二刷,299p
長谷川 眞理子「タテ社会日本と学術」(2022)
北岡一道「研究ノート: ちいさな両手と 2 つのハコ」(2007)
松村茂樹 「日本における 「サーバントリーダーシップ」 導入:「タテ社会」 を変える試み」(2022),62-63p
パットナムの社会関係資本の理論による「タテ社会」の位置づけ
タテ社会におけるネットワークはパットナムの議論でいえば、「垂直的なネットワーク」に分類される。そしてタテ社会の人間関係における資本は外と内を強く分離する閉鎖的なものであり、「紐帯型社会関係資本」に分類される。
パットナムは垂直よりも水平を、紐帯型よりも架橋型を重視していた。上下関係に厳しく、自由な意見を出し合いにくいような「場」では相互不信、非互酬性、相互不寛容などが生じやすいというわけだ。内ばかりの利益を求めると、外に対して過剰に排除意識が生じることも問題だとされていた。
しかし日本のタテ社会において良好な結果をもたらしている側面があるとすれば、パットナムの理論と食い違いが生じていくということになる(もちろん1か0かではなく、現実にはグラデーションがあるのだが)。
池田謙一さんとリッチーによる日本社会の分析
たとえば池田謙一さんとリッチー(Sean E. Richey)による2005年の研究では、「水平的ネットワークが社会にとって健全であるという命題は文化によらず普遍的にいえるのか」という趣旨の疑問をもとに行われたという。
別の言い方をすれば、社会関係資本の機能において、特定の文化的価値はどのような影響をもたらすのかということになる。
池田さんたちの研究の結論は、タテ関係を含むソーシャルネットワークでも政治参加にはマイナスにならなかったという。つまり、上下関係や内と外の区別などの文化においても信頼や協力を適切に生む場合があるということになる(単なる上下関係ではなく、儒教的な性質を帯びているという点がポイントである)。どのようなネットワークが適切かは、それぞれの文化において変動するということであり、普遍的な言明は難しいといえる。
場(いわば社会構造)はさまざまな「範囲」で考えることができる。グローバルな範囲で考えるのか、日本というローカルな範囲で考えるのか、特定の会社なのか、家族なのかなどで適切なネットワークの形態と文化のあり方が変化するといえる。「日本の文化」といったように大文字で語ることができるほど文化は単純ではない。
モノの大量生産が基軸だった高度経済成長期では有効に機能したタテ社会の人間関係も、サービスが基軸の場では有効に機能しない可能性がある。経済での態度のあり方が家庭での態度のあり方の相互関係を考えると、能力主義的、水平的な側面が家庭でも浸透していくことがありうる(ハーバーマスの合理化概念と関連してくる)。
たとえばブレインストーミングという創造技法では「批判をしない」、「上下関係を一旦忘れる」といった方法が有効であるといわれている。個性的なアイデアが重要な社会では単に上からの指示に従うこと以上の積極性、自発性、そして年齢だけではなく能力や成果が求められる時代になっていくといえる。
さらにAI時代に突入すれば、そうした能力や成果とは別のものが必要になっていく。計算能力や運動能力ではなく、かといって前近代的な同調能力でもなく、新しい変化を柔軟に捉えていく「創造的な姿勢」が重視される時代になっていくと私は考える。
・特に参考にしたページ
「社会心理学」,有斐閣,補訂版第二刷,299p
参考文献
おすすめ文献
ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原名), 柴内 康文 (翻訳) 「孤独なボウリング: 米国コミュニティの崩壊と再生」
ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原名), 柴内 康文 (翻訳) 「孤独なボウリング: 米国コミュニティの崩壊と再生」
汎用文献
社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」
デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」
亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」
亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」
参考論文
佐藤誠「社会資本とソーシャル・キャピタル」[2003][URL]
高野良一「社会関係資本のエートス論── 教育理論の 「可能性の中心」──」(2014)[URL]
稲葉陽二,戸川和成,「社会関係資本, 経済格差, 投票率との関係 都道府県データによる考察」(2019)[URL]
長谷川 眞理子「タテ社会日本と学術」(2022)[URL]
北岡一道「研究ノート: ちいさな両手と 2 つのハコ」(2007)[URL]
松村茂樹 「日本における 「サーバントリーダーシップ」 導入:「タテ社会」 を変える試み」(2022)[URL]




コメント