動画での説明
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はじめに
社会心理学とは、人間の社会的な振る舞いの法則や仕組みを解明する学問である。
この動画シリーズは下の図に示すように、創造発見学に位置づけられている。
この記事のシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。
できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。※社会心理学だけではなく他の心理学を扱うこともある。
基本的な説明プロセスは、上の図の通りである。
記事の分割について
記事を分割しています。
リスク認知の歪みを説明する理論
アイゼンによる計画行動理論とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
POINT計画行動理論(英:Theory of Planned Behavior):人が行動するかどうかは行動意図によって決まると考える理論のこと。行動意図は態度、主観的規範、行動コントロール感の3つの要因で構成されている。社会心理学者のアイゼン(Icek Ajzen)が提唱した。
POINT態度(英:attitude):特定の対象に対する、良い/悪いという評価のこと。
POINT主観的規範(英:subjective norms):自分にとって重要な人(家族、友人、恋人など)が、ある行動をすることをどの程度期待しているかという評価のこと。
POINT行動コントロール感(英:perceived behavioral control):ある行動を 自分がどの程度実行できると思っているかという評価のこと。
意図は「よい行動だと思うこと」だけではなく、「周囲からの期待」、さらには「実行できるという認識」を伴うことで、実際の行動へ至るという。いずれが欠けている場合、意図と行動が一致しにくくなる。
「行動コントロール感」は行動意図だけでなく、実際の行動そのものに直接影響すると考えられている。
図にするとこのようなイメージになる。
・特に参考にしたページ
平湯直子「環境配慮行動の規定因に関する理論と実証研究」,2018,226-227p
今井芳昭「環境配慮行動を促すための社会心理学的アプローチ」,2008 ,111-112p
シュワルツによる規範活性化理論とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
POINT規範活性化理論(英:Norm Activation Theory):人の道徳意識がどのように生まれ、それが利他的行動や環境配慮行動につながるのかを説明する社会心理学の理論のこと。重要性認知や責任感によって道徳意識が活性化し、行動を促すという考えによって説明されている。
社会心理学者のシュワルツ(Shalom H. Schwartz)によって提唱された。
POINT重要性認知(英:Awareness of consequence):ある問題が重大であり、自分や社会に悪影響を与えると理解すること。
例:「大量の電力消費は二酸化炭素排出を増やし、気候変動につながる」と認識する。
POINT責任感(英:Ascription of Responsibility:問題の解決や被害の防止について、自分自身にも責任があると認識すること。
例:「企業だけの問題ではなく、自分の電気の使い方も温暖化に影響している」と考える。
POINT道徳意識(英:Moral Awareness):「自分はその行動をするべきだ」という主観的な義務感のこと。周囲から強制される規則ではなく、本人の内側から生じる規範である。
例:「地球温暖化を防ぐために、自分も節電するべきだ」と感じる。
重要性認知と責任感の2つがそろうことで、道徳意識が活性化し、行動しやすくなるという点が重要である。
意識と行動の一致を阻害する要因が主に2つ考えられている。
- 「自分一人が行動しても意味がない」という考えである「非有効性知覚」は重要性認知から責任感への移行を妨げる。
- 時間や手間、費用などの負担を大きいと感じるといった「コスト知覚」は責任感から道徳的意識の活性化への移行を妨げる。
アイゼンは態度、規範、コントロール感の3つを意図形成の要因であると考えた。シュワルツの理論はそうした要因のより詳細なプロセスの検討として位置づけることができる。
・特に参考にしたページ
平湯直子「環境配慮行動の規定因に関する理論と実証研究」,2018,228-229p
広瀬幸雄さんによる環境配慮行動の2段階モデル
POINT環境配慮行動の2段階モデル(英:Two-phase Model for Environmental Conscious Behavior):環境配慮行動は、「目標意図」の形成と「行動意図」の形成の2段階を経て実行されると考える理論。
社会心理学者の広瀬幸雄さんによって提唱された。
認知と評価の段階を分け、どちらも十分に満たした場合に「行動につながる意図」が形成されるという考えである。アイゼンやシュワルツのプロセスをより細分化したものといえる。
社会学的な環境リスクにおける「知識体系」と「価値体系」の分類と合わせて考えることもできる。
第一段階の目標意図は3つの認知から構成されている。
POINT環境リスク認知:環境問題が危険な問題であると理解すること。
POINT責任帰属認知:その問題の解決に自分も責任があると考えること。
POINT対処有効性認知:自分の行動が問題解決に役立つと考えること。
第二段階の行動意図は3つの評価から構成されている。
POINT実行可能性評価:自分にその行動ができるか考えること。
POINT便益・費用評価:行動による効果と負担を比較すること。
POINT社会規範評価#ここ英語#:周囲の人々がその行動を期待しているか考えること。
図にするとこのようになる。
・特に参考にしたページ
平湯直子「環境配慮行動の規定因に関する理論と実証研究」,2018,229p
ペティらによる説得メッセージの「精査可能性モデル」
アイゼンの計画行動理論では「行動意図」が行動を起こすための重要な要因であり、そのひとつに「態度」が位置づけられていた。社会心理学では相手にメッセージを伝えることで、ある対象への「態度」を変えようとする働きかけのことを「説得(英:persuasion)」という。
社会心理学者の今井芳昭さんは受け手の反応に影響を与える要因を「送り手の属性」、「説得メッセージの構造」、「受け手の属性」に分類している。
アメリカの実業家であるシュガーマン(Joseph Sugarman)は、購買態度を高めるための手法として以下のものを挙げている。
興味を惹きつける見出し、ストーリー性、先制的な反論(予想される反論を先取りして反論しておくこと)、シンプルさ、自我関与、権威付け、切迫感、希少性、親しみ、希望などである。
POINT精査可能性モデル(英:Elaboration Likelihood Model,ELM):人は、状況に応じて中心ルートと周辺ルートの2つの方法で情報を処理すると説明する理論のこと。ペティらによって提唱された(Petty & Cacioppo,1986)。
受け手の関心や知識、理解力などが高いほど、中心ルートで処理しやすいとされている。ヒューリスティック処理とシステマティック処理の区別とも類似した考え方である(第四回1ワード社会心理学の記事を参照)。
POINT中心ルート(英:Central Route):受け手が説得メッセージの内容を注意深く吟味し、論理や根拠を検討したうえで態度を変化させる情報処理経路のこと。
中心ルートを経た態度変容を「中心的態度変容」と呼ぶ。比較的持続性が高く、他の説得に対する抵抗力が強く、行動との一貫性が高いという。
例:元々環境問題に興味がある人が新たな環境リスクの証拠を吟味し、態度を変化させるケースなど。
POINT周辺ルート(英:Peripheral Route):受け手が説得メッセージの内容を詳しく吟味せず、発信者の信頼性や印象、社会的評価などの周辺的手がかりによって態度を変化させる情報処理経路のこと。
周辺ルートを経た態度変容を「周辺的態度変容」と呼ぶ。比較的持続性が低く、他の説得に対する抵抗力が弱く、行動との一貫性が低いという。
例:専門家が言っているからという理由で、とくに根拠を吟味せずに態度を変容するようなケース。
中心ルートの比率が高い場合や低い場合などのグラデーション、連続的変化がある。
ただし、ペティらの理論ではどちらかが優勢になり、かつ優勢になったほうのみが影響を与えると考えられており、受け手に同時的に影響を与えたり、ルート同士の相互作用などは初期の理論において前提とされていない(トレードオフ、相互作用などを考えるべきだと批判されることがある)。
動機づけに影響を及ぼす要因として、個人的関連性、認知的欲求度、個人的責任などが挙げられている。
能力に影響を及ぼす要因として、思考妨害、メッセージの反復、事前の知識、メッセージの理解のしやすさなどが挙げられている。
周辺的ルートに至りやすい要因として、送り手の信憑性、送り手の魅力、説得メッセージに含まれる議論の量、自分の過去の行動などが挙げられている。
図にするとこのようなイメージになる。
・特に参考にしたページ
今井芳昭「環境配慮行動を促すための社会心理学的アプローチ」,2008 ,116p-118p
山田 菜緒子「理論に基づくインタープリテーション」山田 菜緒子,2006,1p
吉里潤, 相川充「認知的努力の集団拡散が態度変容に及ぼす影響ー精査可能性モデルの観点よりー」,1997,159p
参考文献
おすすめ文献
ノエル=ノイマン (著),池田 謙一 (翻訳) 「沈黙の螺旋理論[改訂復刻版]: 世論形成過程の社会心理学」
ノエル=ノイマン (著),池田 謙一 (翻訳)「沈黙の螺旋理論[改訂復刻版]: 世論形成過程の社会心理学」
汎用文献
社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」
デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」
亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」
亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」
参考論文
今井芳昭「環境配慮行動を促すための社会心理学的アプローチ」,2008 [URL]
広瀬幸雄「環境配慮的行動の規定因について」,1994[URL]
寺田良一「環境リスク論と環境社会学」,2011[URL]
平湯直子「環境配慮行動の規定因に関する理論と実証研究」,2018[URL]
山田 菜緒子「理論に基づくインタープリテーション」山田 菜緒子,2006[URL]
吉里潤, 相川充「認知的努力の集団拡散が態度変容に及ぼす影響ー精査可能性モデルの観点よりー」,1997[URL]
諏訪博彦, 山本仁志, 岡田勇, 太田敏澄「環境配慮行動を促す環境教育プログラム開発のためのパスモデルの構築」,2006[URL]













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