動画での説明
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はじめに
社会心理学とは、人間の社会的な振る舞いの法則や仕組みを解明する学問である。
この動画シリーズは下の図に示すように、創造発見学に位置づけられている。
この記事のシリーズは創造発見学に位置づけられている。要するに、アイデアをひらめくための情報を学ぼうというわけである。ビジネス、友人関係、学業、さまざまなものにそれぞれ活かしてほしい。
できるだけ1ワードに説明する対象を絞っていく。※社会心理学だけではなく他の心理学を扱うこともある。
基本的な説明プロセスは、上の図の通りである。
パットナムの社会関係資本の理論に対する批判
アスレイナーによるパットナムへの批判(一般的信頼と特定化信頼の混同)
政治学者のエリック・アスレイナーは「経済的不平等」に着目している。経済的不平等は信頼を壊し、腐敗を生み、さらに不平等を拡大させるという「悪循環」が生じるという。こうした悪循環をアスレイナーは「不平等の罠」と表現する。
経済的不平等があると、人々は特定の仲間だけを信頼するようになり、少数派や外部のコミュニティなどを含む社会全体への一般的信頼が低下するという点がポイントになる。経済が不安定の時こそ、外国人への許容度も小さくなりがちなのだろう。
アスレイナーはパットナムが一般的信頼と特定化信頼を混同しており、一般的信頼がちょっとしたボランティア活動等で培われるといった主張を否定している。一般的信頼は主に幼少期に親たちから受け継ぐものの影響が強いというのがアスレイナーの主張である。
経済的不平等が大きい社会では親は世の中は信頼できないという態度をとり、それが子どもに伝わり、さらに子どもは一般的他者を信頼せず、身内だけの効用を考えるようになり、経済的不平等が高まるというイメージになる。
地域の交流やボランティアへの参加だけでは一般的信頼を醸成することが難しく、経済的不平等そのものを是正することが現実的には優先されるというわけだ。法の整備や教育の整備といった長期的な格差是正が重要になるのだろう。
・特に参考にしたページ
稲葉陽二,戸川和成,「社会関係資本, 経済格差, 投票率との関係 都道府県データによる考察」(2019),271-272p
稲葉陽二,戸川和成,「社会関係資本, 経済格差, 投票率との関係 都道府県データによる考察」(2019),282p
リンによる「数量分析の対象」に関するパットナムへの批判
社会学者の佐藤誠さんはパットナムへの批判を「数量分析の対象に関する批判」、「宿命論的であるという批判」、「否定的な側面への軽視という批判」、「グローバリゼーションが考慮されていないという批判」、「具体的な打開策が考慮されていない批判」などに整理している。
社会学者のナン・リンは「特定の組織の構成員数の変化」ではなく、「ボランティア活動に人々が割り当てた総時間数」で測定すべきであったと批判している。
たとえば単発的なボランティアへの参加、署名運動への参加、クラウドファンディングへの支援などは継続的な団体加入を伴わない。しかしそういう形態の社会参加を考慮せず、特定の組織の、たとえばボウリングの団体の人数などの変化を追って「社会関係資本が弱まっている」と判断するならば短絡的だということになる。
パットナムはアメリカの市民性が低下した原因として世代変化が50%、メディアが25%、仕事が10%、郊外化が10%といった詳細な数値で原因の割合を挙げているが、その根拠が不明瞭だという批判がある。
佐藤さんは、「矛盾に満ちた人間の心理や社会的行為が、あらゆる仔細な点にわたって数量的厳密さで説明されると考える無邪気さ」と表現している。過度な数量化への批判というわけだ。非実体的なものを実体的なものへ、つまり可視化のかたちとして数量化する傾向はコールマンの系譜でもある。
・特に参考にしたページ
佐藤誠「社会資本とソーシャル・キャピタル」[2003],6-7-8p
ポルテスによる「循環論」であるという批判
社会学者のアレハンドロ・ポルテスは、パットナムのイタリア分析について、歴史に原因を求めすぎることで「循環論(トートロジー)」に陥る危険があると批判している(Portes,Alejandro,1998)。
たとえば、現在の北イタリアで市民性が高いのは、歴史が市民的に形成されてきたからだと説明する場合、「市民的に形成されてきた」という表現自体が、すでに市民性が高い状態を意味している。そのため、結局「市民性が高いのは、市民性が高かったからである」という同語反復になり、市民性が高い理由の説明にはなっていない。したがって、経済構造、政治制度、支配関係、教育水準など、市民性を生み出す具体的な要因の分析が必要となるというわけだ。
・特に参考にしたページ
佐藤誠「社会資本とソーシャル・キャピタル」[2003],8p
佐藤誠さんによる「精神主義的」であるという批判
佐藤さんによると、パットナムは社会の改善のための現実的な手段を説明していないという。
パットナムは社会関係資本が衰弱化してきたアメリカ社会への処方箋として「通勤時間を減らして近隣との結びつきを強めよう」とか、「テレビの前で過ごす受け身の時間を減らそう」といった精神主義的スローガンが多いというわけだ。アスレイナーの指摘するような経済的不平等に対する視点や、あるいはブルデュー的な階級の文化資本の再生産といった構造的な視点が重要になってくるのかもしれない。
・特に参考にしたページ
佐藤誠「社会資本とソーシャル・キャピタル」[2003],10p
参考文献
おすすめ文献
ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原名), 柴内 康文 (翻訳) 「孤独なボウリング: 米国コミュニティの崩壊と再生」
ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原名), 柴内 康文 (翻訳) 「孤独なボウリング: 米国コミュニティの崩壊と再生」
汎用文献
社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」
デイヴィッド・マクレイニー (著), 安原 和見 (翻訳) 「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」
亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」
亀田 達也(監修)「眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学」
参考論文
佐藤誠「社会資本とソーシャル・キャピタル」[2003][URL]
高野良一「社会関係資本のエートス論── 教育理論の 「可能性の中心」──」(2014)[URL]
稲葉陽二,戸川和成,「社会関係資本, 経済格差, 投票率との関係 都道府県データによる考察」(2019)[URL]
長谷川 眞理子「タテ社会日本と学術」(2022)[URL]
北岡一道「研究ノート: ちいさな両手と 2 つのハコ」(2007)[URL]
松村茂樹 「日本における 「サーバントリーダーシップ」 導入:「タテ社会」 を変える試み」(2022)[URL]



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